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January 23, 2005

絶好のロケ地を探して

 以前も書いたのだが最近大判写真に凝っている。といっても機材の重さに打ちのめされてせっかく機材を揃えたものの言うほど撮影はしていないのが現状だ。使っているのはSpeedGraphicの最終型SuperGraphicと言うカメラで、昭和30年代ぐらいまではプレスカメラとして新聞社などで大量に使われていたものだから、持ち歩いてスナップも可能なはずなのだが、今の小型軽量なカメラに慣れた身にはとてもじゃないが重くて持ち歩けたものじゃない。つくづく昔の人のスキルと体力に脱帽するばかりである。
 ところで、こうしたばかでかいカメラを使って撮影していると意外な発見があるものである。一つは通りすがりの人が結構話しかけてくれたり撮影に協力してくれること、もう一つは撮影禁止の場所が思った以上に多いことである。

 以前、東京オペラシティを撮りに行ったときのことである。このときには普通の35mmフィルムを使うカメラを持って三脚を使って撮っていたのだが、休日の昼間にも関わらず(ご存じの通り丸の内界隈は平日より休日の方が圧倒的に人の量が少ない)同じようにカメラと三脚を持ってうろうろしている人を他に何人も見ることができた。私が撮影している間だけでこうなのだからきっと1日を通してみると少なくとも10人近くは来ているのではないだろうか。他の人が撮影の邪魔なのはお互い様として、困るのはこうした人たちの中に必ずいるマナーの悪い人たちのおかげで警備がやけに厳しくなっていることである。
案の定、撮影のために三脚を出したとたんここでもどこで見ていたのか警備の人がやってきて注意を受けることになってしまった。なんでもここはCMなどでもよく使われるせいもあって今ではすっかり撮影スポットとして有名になってしまったのはいいが、絶好の撮影ポイントを探して明らかに無茶なところに三脚を立てる人がいて困っていると言うのである。
ここに限らず三脚を使ったり、大判カメラなどを使っているとよく注意を受けるのだが、どうやら日常何でもない場所でも結構撮影禁止だったり撮影条件が厳しいところが多いようなのだ。夜景で有名な新宿サザンテラスもクリスマスの時期など結構三脚を立てて撮っている人を見かけるが、実はここも三脚は使ってはいけないことになっている。
こうした障害を乗り越えて撮ってこそベストショットをものに出来ると言う考えもあるし、事実以前TVでやっていたニューヨークのWTCのテロのレポートの中でスクープをものにしたマグナムのカメラマンの多くは、警察や消防の制止を振り切り最後にはここに入ったら殺すとまで言われているところまで踏み込んで写真を撮っていたらしいが、おかげでカメラマンと言う連中はどんなところでも土足で踏み込む無礼なやからだと思われてしまっているのだ。

 まあ、全てがマナーの悪い撮影者や訪問者によるトラブルのせいでは無いだろうが、こうして絶好の撮影場所の多くは有名になるにつれて、いつのまにか撮影禁止になってしまったり立ち入り禁止になってしまうことが多いのが実情だ。
そのせいだろうか、絶好のロケ地と言うのはみんな秘密にしておきたいものらしい。それではいい撮影場所というのは松茸やトリュフの産地のように口伝でしか伝わらないのかというとそういうわけではないらしく、秘密にしていたつもりでも、いつの間にかカメラを持った人たちでごった返すようになってしまうのが不思議なところである

 そうしたこともあって場所取り競争に加わる根性も撮影禁止の場所に踏み込む度胸も無い私はもっぱら雑誌などではけして取り上げられないごく普通の場所や、逆に昔の仕事を生かした変わった建物や町並みなどを撮っている。ポイントは写真関係でない書物から見晴らしや景観などについてかかれている物を見つけて、なるべく早いうちに撮りに行ってしまうことだ。特に建築関係などは専門誌などを見れば計画段階から特集になっている物も多いので、作っているうちから見ておくと被写体としても結構おもしろいものが見つかるだろう。(たとえば横浜国際客船ターミナルなどはできあがる遙か前から情報が載っていた)
ただし、最近は出来る前から結構反対運動が起こっている建物も多い関係で、(そうした運動に使われることを恐れてか)工事中の写真を撮られるのをひどく嫌う場合も多いそうだ。そんな訳でこの方法もいつまで有効かは分からない。

 こうして考えていくと結局、誰の迷惑にもならないし撮る方も気楽なのは誰も気にとめないような所を発掘するのが一番だと言うことになる。こう書くといかにもつまらない場所しか残っていないような感じがするかもしれないが、有名な写真であっても結構日常の風景をうまく切り取って撮られている物が多いことを考えれば分かるとおり、要は探し方の問題なのだ。ただ問題は巨匠でもない我々が、いかにしてこうした物になる光景を見つけられるかと言うことだ。

 そのための練習方法だが、以前写真関係のネットで聞いた話の中でこれは効き目がありそうだと思った方法を一つ紹介しておこう。それは自分がよく知っている所で、かつこれまで数え切れないほど多くのカメラマンが被写体にしてきた場所(出来れば街)を、事前に何も見ずに歩き回りながら撮影場所とアングルを決めて出来るだけたくさん撮ってみると言うものだ。
もちろんただ撮るだけでなく後でそれと有名な写真集と比べてみるのがポイントなのだが、同じ場所でも後で写真集と比べてみるとその違いにびっくりするに違いない。その違いはちょとしたライティングの違いやフレーミングの違いの場合が大半なのにである。以前、ニューヨークに住んでいた友人が言っていたが、プロのすごいところはそこに住んでいてようやく見つけだしたような撮影ポイントを、初めて来てほんの数十分歩き回っただけで見つけだせる所だという。そして同じ場所でもわずかなアングルや構図の違いでそこに何年も住んでいる人よりも良いカットを物に出来るというのである。
 同じ境地にいつになったらなれるのかは分からないが、こうしてカメラを片手に私は街を撮っている。

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