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March 29, 2005

ひまわり6号の映像が届いた

first_vis ちょっと遅いニュースだが、この前のH2-A 7号機によって打ち上げられたひまわり6号からの映像が届いたのでそれについて書いてみよう。
と言っても詳しい解説は気象庁や宇宙作家クラブ掲示板などに書かれているし、そもそも閲覧数の少ないここでうだうだ書いてもしょうがないのであるが、未だに気象衛星の基本的な仕組みについて知られていない上に、今回のニュースでも判りやすいように解説してくれるところがあまり無かったようなので、落ち葉拾いのつもりでそれらをフォローしてみたい。
 まずは基本的なニュースのおさらいだがasahi.comの記事を引いてみる。


 気象庁は24日、H2Aロケットで打ち上げられた運輸多目的衛星(MTSAT、愛称ひまわり6号)が初めて撮影した映像を公表した。
 ニューギニア島付近の上空約3万6000キロから、気象衛星センターの気象衛星通信所(埼玉県鳩山町)に画像が届いた。

 でここに書かれていない基本的なフォローだが、まずは気象衛星とはなんぞやと言う話だが判りやすい解説としてまずは本家JAXSAの子供向け解説ページJAXSAキッズを引用しよう。

天気予報などの精度を向上させるため、地球上の気象現象を観測する衛星。1959年にNASAの「バンガード2号」が地上の気象状況を撮影したのにはじまり、現在では世界気象機関のとりきめにより高度3万5800キロメートルの静止軌道に、日本の「ひまわり5号」のほか、アメリカなどによって計5個の衛星が打ち上げられ、運用されています。

(余談だが、このJAXSAの子供向け解説ページは意外と参考になる事が書かれている。現場の記者会見などで驚くほどとんちんかんな質問をする記者がたまにいるが、せめてこうしたページくらいは読んで最低限の知識を身につけてから取材に来て欲しいものだ。)

 そんなわけでもう私の解説する部分は無くなってしまった訳だが、ちょっとだけフォローすると、気象衛星の肝となる部分は実はこの静止衛星軌道の適正なポイントにいかに正確に観測方向に向けて機体を固定するかにかかっている。たまにこの前、東工大が打ち上げたCubeSat衛星などを引き合いに出してたった180万円(ひまわり6号は163億円)で地球の写真が撮れるのだからもっと安く上げられるはずだと言う人がいるが、値段の違いで一番大きいのはいつでも好きなときに正確に狙った点を撮影出来るか、行き当たりばったりでたまに地球を写せますよと言う違いなのである(まあ他にもいろいろ違いはあるのだが)。
 でこの正確に衛星の向きを固定すると言う必要性から、衛星の寿命も決まってくるのだ。つまり放っておくと少しずつ向きや場所がずれていく衛星を修正するために、小型の姿勢制御用ロケットをふかして直してやるのであるが、当然燃料は無限にあるわけでは無いので、この燃料が尽きたときが衛星の寿命が切れた時になるのである(この他にも中の機械の耐用年数などの要因もあるが、燃料が尽きる方が先なのでここでは触れない)。
 寿命が尽きかけた衛星がどうなるかは今無理矢理ひまわりの代わりに引っ張り出されているアメリカの気象衛星GOES-9の映像を見ると判りやすい。日本気象協会のワンクリック気象情報サイトでは毎日、気象衛星の画像を見ることが出来るが、本来真ん中付近に写っているはずの日本列島が日によってはずれているときがあるが、これはスラスター(姿勢制御用ロケット)の修正がうまく行ってない時の映像である。たしかニュースによるとGOES-9のスラスターは一部の動作が不調な上に、燃料がなくてぎりぎりまで機体の位置修正をしないので、おそらくそれによるものだろう。またひどいときには画像の下1/4くらいがまるまる欠けているときがあるが、これは何らかの理由で撮影中にトラブルが発生したのだろう。ついでに補足するとこうした衛星からの写真は、普通のカメラの撮影のように一枚一枚パシャパシャ撮っているのではなく、スキャナーでスキャンするように画面を何分割もしながら少しずつ撮影していくようになっているので、トラブルが起きるとこのような画像になるのである。

 なんだか軽くフォローするつもりがついつい長くなってしまった。まだまだ書き足りないネタ、たとえばひまわりの画像が可視光線はモノクロになったものが一カットしか無いのに対し、何故赤外線領域は波長の異なる4カットもあるのかとか、いろいろあるのだがこれらについてはいずれ機会がある時にでもまた書いてみたいと思う。

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