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March 10, 2005

禁断の酒「アブサン」解禁

 今日のニュースネタだが、禁断の酒「アブサン」が発祥地のスイスで解禁になったそうだ。知らない人もいると思うので補足すると、アブサンとは18世紀にフランス人医師ピエール-オルディネールがスイスで医薬品として生み出したニガヨモギを中心に多くの薬草や香草で風味を加えたアルコール度数60−75度の強いリキュールで、色から「緑の妖精」とも呼ばれているお酒である。19世紀にはヨーロッパで大ブームを巻き起こし芸術家を中心に絶賛されたという。ボードレールやランボーなどは作品の中でも頻繁に取り上げているので名前だけは耳にした方も多いのではないだろうか。
 だがこのお酒、毒性や幻覚作用があるといわれ1905年にアブサンを飲んだ農民の男性が、妻や子供を射殺した事件を契機に、スイスや近隣諸国で製造、販売が禁止されるようになってしまったのである。えっ、でもこの前バーで飲んだ事があると言う人もいるだろうが、実は国内で飲めるアブサンは本家本元のアブサンとはかけ離れた別物なのである。
 実は私もランボーの小説などで気になって渋谷のバー「門 八月の鯨」で一時期こればっか飲んでいたことがあるのだが、後から振り返って見ると確かに色はアブサンのグリーンをしているものの、甘い口当たりで味はまるで別物だったことを覚えている。そう、後で判ったことだがこの「アブサン」はベースがニガヨモギなだけあってリキュールというより ビター(苦味酒)に近い味なのだ。そんな訳で未だに本当のアブサンは飲んだことは無く、しかも今では多くの国で製造・販売が禁止されていることから、おそらく一生口にすることは無いと思っていたのだ。だがニュースによれば今では毒性や幻覚作用は科学的な根拠がないと言うことで、多くの国では普通に販売されていると言うではないか。以前はこれを飲むためにわざわざ禁止されていない国から取り寄せて飲むしかなかったのが、これでやっと普通に飲めることが出来そうである。

 ところでなぜこんなにアブサンにこだわっていたかと言うと、実は私は結構単純で映画や小説でおいしそうに飲んだり食べたりしているとすぐ自分でも飲んだり食べたりしてみたくなるのである。おかげでこれまでもグロッグ(ラムを水またはお湯で割ったもの)やら、マティーニやらいろいろと飲んだり食べたりしたものだ。
 これで失敗したのはグロッグで昔の海賊ものや英国海軍ものでは実に旨そうに飲まれている上に、メグレ物でも頻繁に出てくるので、さぞおいしかろうとわざわざラム酒を買い込んで作ってみたものの、結局口に合わずに今でもほとんど手つかずのラム酒を残してしまった。実はこれには後日談があって、私が参照したグロッグは本家大英帝国海軍仕様のレシピで、メグレ刑事シリーズのレシピならずっとおいしかったのである。
 (参照)メグレ刑事シリーズのレシピ:ラム酒大さじ3杯(お好みで追加)、レモン大さじ1杯、砂糖(お好みで)
 (対して大英帝国海軍レシピでは、単純にラム酒を水で割っただけのものである。)

 再びアブサンの話に戻るが、ネットで調べると解禁になったと聞いたとたんに飲みたがるのは人の性らしく、googleってみると既に多くのblogで取り上げられているのには驚いてしまった。もう日本に取り寄せた方も何人もいるようで、どうやら私はすっかり出遅れてしまったようである。

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