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April 29, 2005

NASAの自動操縦宇宙船"DART"の記事に思う

 Hot WiredのニュースによればNASAの自動操縦宇宙船"DART"がランデブー相手の衛星に衝突したらしい。以下は記事からの引用である。

新しい自動操縦技術を実証するための飛行中にミッションを中止した米航空宇宙局(NASA)の無人宇宙船が、ランデブー相手の人工衛星に衝突していたことがわかった。ランデブーとドッキングを自動化するこの技術は、多額の費用と危険を伴なう有人ミッションに代わるものと期待されていた。NASAでは調査委員会を設置して事故原因を究明するとしている。

 これを読んでちょっと不思議に思ったのだが、記事によるとこの目的は人の手を借りず宇宙船同士をランデブー・ドッキングさせる技術を実証する事だとあるが、宇宙船の自動操縦によるランデブー及びドッキング技術と言うのはとうに確立した技術ではなかったのだろうか。
 例えばロシアのソユーズ宇宙船は60年代から地上のコントロール下とは言え、無人でランデブー及びドッキングを行っているし、ISS(国際宇宙ステーション)に食料などを補給している無人貨物機プログレス補給船は人が乗ってないから当然ではあるが、常に無人でランデブー及びドッキングを行っている。
 Wired Newの記事中ではプログレス補給船の事にも触れているが、例外的に有人でリモコン操作のテストを行った結果事故を起こしたプログレスM-33号の例を引いてまるでロシアが常にこのようなリモコンによる有人コントロールを行っていて、しかもそれが潜在的な危険に満ちているような書き方になっている。しかし実はプログレス補給船は半自立的な自動操縦装置"kurs"を備えていて、通常はこのような有人コントロールは必要ないのだ。しかしソビエト崩壊後、ドッキング装置を提供していたウクライナからの納品がだんだん滞ることになったため、このときはやむ終えず手動によるリモコン操作をテストすることになりそれが事故の原因になったのである。
 またロシア以外に、日本でも宇宙科学研究所(現JAXSAに統合)の実験衛星「おりひめ」と「ひこぼし」がトラブルに見舞われたものの1997年に既に無人ランデブー及びドッキングに成功しているのだが、このことは日本国内ですらあまり知られていないのは残念な事だ。

 もしかしたら今回のNASAの実験は完全な自立的な自動操縦でランデブー及びドッキングを目指したものなのかも知れない。確かにそうであれば最新の技術ではあるが記事中では肝心のその点について詳しく書かれていないようである。今回の記事に限らず、米国初の科学ニュースの中にはまるでそれがアメリカ人の手によって世界最初に行われたかのようなニュアンスを感じるものが多く、実用化された一人乗り小型ヘリコプターGEN H-4にしろ、筑波大学によって開発されたロボットスーツHALにせよ、後発の類似した米国製のものが報道されているのも気になる所だ。もちろん自国向けのニュースなのだから自国の技術を取り上げるのが当然だとも言えるが、問題なのは他の国はもちろん自国の先発の技術さえチェックせずにそれを垂れ流してしまう日本の科学ニュースのあり方ではないだろうか。

追記:日本語版POPULAR scienceの5月号によるとどうやらDARTのランデブー及びドッキングは相手を特定しない完全自立型のシステムを目指していたらしい。

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