« 新しいウオッカを購入する | Main | ノイズキャンセリングヘッドフォンを購入する »

April 08, 2005

衛星写真の画像処理

 以前のひまわり6号からの画像の話の続きである。この前、気象庁から発表になった画像を見て、何故フルカラーの写真が1枚も無いのに、赤外線領域の画像は4枚もあるのか不思議に思った方も多いのではないだろうか。実はこれは単純な話で気象観測に欠かせない大気中の水蒸気の様子や、地表の水や氷の状態を観察するのに、こちらの方が都合がいいからに他ならない。
 では何故都合が良いかと言えば、撮影する光の波長域によって写ってくるものが変わってくるからである。参考までにまずランドサットで使われた撮影波長域を見て欲しい。

[ランドサットにおける観測波長域]
バンド 波長 種類
1 0.45-0.52μm 可視光線(青)
2 0.52-0.60μm 可視光線(緑)
3 0.63-0.69μm 可視光線(赤)
4 0.76-0.90μm 近赤外線
5 1.55-1.75μm 中間赤外線
6 10.4-12.5μm 遠赤外線
7 2.08-2.35μm 中間赤外線

ごらんになれば判るように、衛星のセンサーではデジタルカメラの用に撮影した画像はRGBフルセットのいわゆるフルカラー画像としては扱われていない。実はこれはデジタルカメラやビデオでも同じなのだが、内部でRGBの合成を行ってフルカラーの画像として出すようになっているのだ。衛星写真では後述する理由により、RGBをバラバラに処理する事も多いためフルカラーの画像でもRGBごとに分かれたままになっている。
 ではどうしてRGBの画像を分ける必要があるのだろうか。実は植物からの反射が近赤外域で特に強くなる特性があるために衛星写真では近赤外線の4バンドを緑に、青と赤に可視光の2・3バンドを割り当てた画像をよく作る為である。こうすると植物の緑が強調され市街地は赤味を帯び、普通にフルカラーで見るよりもずっとはっきり地形が判るからだ。よく見かける妙に緑が青々としている写真は皆「トゥルーカラー」と呼ばれるこうした合成が行われた画像だと思っていいだろう。
 同じように今度は長波長域を使うと今度は水の反射がほとんどなくなってしまうので、これを使えば水部がはっきりするし、また中間赤外線では雪の反射も無くなるので雲と雪の違いが区別できるようになる。さらに長い遠赤外線(熱赤外線)では、放射熱の違いが識別でき、地表や水面の温度分布が観測できるようになる。このように使う波長域とその組み合わせで様々な事が判るので、衛星写真の画像は様々な波長域毎に分けられたモノクロの画像が必要になってくるのである。

ちなみにひまわり6号の場合。地形観測の必要が無いのでランドサットとは使っている波長領域が若干異なって以下のようになっている。

[ひまわり6号における観測波長域]
バンド 波長 種類
1 0.55-0.90μm 可 視(VIS)
2 10.3-11.3 μm 赤外1(IR1)
3 11.5-12.5 μm 赤外2(IR2)
4 06.5-07.5 μm 赤外3(IR3)
5 03.5-04.0 μm 赤外4(IR4)

 なお、これは気象衛星にかぎらずほとんどの衛星や探査機の映像で行われている事で、使われているチャネルは違うものの元の画像は皆チャンネル毎に分離したモノクロの画像なのである。従って惑星探査機「ホイヘンス」が木星の衛星「カッシーニ」から送った映像も、最初はモノクロの画像が掲載されたわけである。また1976年に火星に着陸した探査船「バイキング」ではボディに付いている色調整用のカラーバーを写し込んだにもかかわらず間違って最初のカットでは空を青くしてしまったのもこういった事情によるのである。

|

« 新しいウオッカを購入する | Main | ノイズキャンセリングヘッドフォンを購入する »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/76620/3597286

Listed below are links to weblogs that reference 衛星写真の画像処理:

« 新しいウオッカを購入する | Main | ノイズキャンセリングヘッドフォンを購入する »