機械式腕時計の話
男の道楽小物と言えば車やカメラが定番だが、侮れないものの一つに腕時計と言うのがある。幸い私はまだはまってはいないのだが、年に数回くらい機械式腕時計欲しい病が発症するので油断は禁物だ。しかもこの病気、カメラなどと同じように結構治療にはお金がかかるのである。
さてそういう私が何を使っているかと言えば、以前もちょこっと書いたようにロシア製の機械式腕時計「シュトールマンスキー」を使っている。これは以前、機械式腕時計欲しい病が発症してもう少しでオメガスピードマスターを購入しかけたときになんとか踏みとどまって代わりに購入したものなのだ。もともと宇宙好きの自分としては、スピードマスターは唯一の月に行った時計と言うだけで物欲が刺激されるのだが、幸か不幸か金属ベルトが嫌いでかつ手首の細い自分には絶対に合わないだろうと言うことで、同じ宇宙に行った時計として(注1)こちらに落ち着いたのである。
ところで、このシュトールマンスキーに限らず、ロシア製時計もカメラに負けず劣らず当たりはずれの多いもので、2chの「ポレオットについて語ろう」のスレッドには伝説のレスと呼ばれる名台詞が挙げられている。
◆伝説のレス(1)◆
『ムーブの1部に指紋が付いていたのは愛嬌なのだ』
『その指紋はムーブを組んだ人を明確にするための生産者表示なんだよ』
◆伝説のレス(2)◆
『ちっ、また止まってやがるとか、何だお前今日は進んでるぞ、とか言い
ながらコリコリぜんまいを巻きてえ。
同僚にも「ぷっ、何だその時計」とか言われつつ、雨の日には傘を出し
ながらそっと時計を内ポケットにしまいてえ。
あらゆる電子機器に時計がついているこのご時世だ。腕にコチコチ動く
甲虫を飼うのも良いだろう。』
◆伝説のレス(3)◆
『ポレSS-18って大丈夫でしょうか。
なんか漏れ出したりしてませんか?((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル』
『時間が漏れます。』
◆伝説のレス(4)◆
『まあまあ抑えて同志の皆さん。
「ポレ持ち喧嘩せず」ですぞ。
ポレが教えてくれた、ロシアの大地のようなおおらかな心で彼を迎えて
あげようではないですか。
大らかな心と暖かい服で「侠」を目指そうではないですか。』
◆伝説のレス(5)◆
『注文して一月以上来なくとも、笑って待て。
注文と違うモノが届いても、笑え。
風防の内側に指紋があるのも大当たりだ。藁w
針が抜け落ちても、暖かい目でわらえ。
届いた時から壊れていたら、爆笑しろ。
部品が足らなくとも、微笑め。
そして、もしクロノメーター級の精度がでたら畏れおののくのだ。
こうして、大陸のように心の広い人間がまた一人、世界に増える。。』
『笑っているのに・・・眼から水が出てくるのは何故?』
◆伝説のレス(6)◆
『どんな逆境もポジティブシンキング
そう、酸素が漏れる宇宙科学ステーションミールの宇宙飛行士に!
放射能ほか色々漏れる戦略ミサイル原潜の乗組員に!
選ばれた人間の選ばれた時計
それがPOLJOTだ!orz 』
◆伝説のレス(7)◆
『ロシアの超巨大ウォッチ、ズローストをイーベイで3ヶ月ほど前に買った
のね。 で、海で使用しているわけでも無しに弄っていただけなのに、
既にバックルに赤錆大量発生・・。
ステンレス製じゃなかったよ。
こんな国が作ったミサイルって飛ぶのかしたら?』
『そこがロシアマジックなんだ、多分
アメリカが沈んだソ連原潜を拾い上げて調べて、その核弾頭の極めて高度な
技術に驚くと同時に
しょっちゅう爆発する原子炉&ロケット、いい加減な耐圧殻の溶接等々
(だからしょっちゅう沈む)に
なぜこうも極端なアンバランスが共存しうるのか理解に苦しんだ、と本で
読んだよ(w 』
以上、同じポレオット製の時計を使っている身には思わず膝を打ちたくなる言葉が並んでいるが、幸か不幸か私が使っているものは、クロノグラフを使ったときに30分計の針がピッと1分進んでしまうのを除いては問題なく動作しているのであたりを引いた(ポレオット板的にははずれ)と言えるだろう。
ところでこのクロノグラフと言う機能、ユーザーの人たちは実生活ではどんなときに使っているだろうか。最近では時計雑誌の中でさえクロノグラフは実生活で使うことはほとんどありませんなどと言う言語道断な回答が載っているのを見たことがあるが、クロノグラフというのは実生活でもとても役に立つものなのだ。
自分の例を挙げるとまず、CGの動きをつける際に実測するという使い方がある。仕事で作るアニメーションならすべてに言えることであるが、作られるカットと言うのは秒単位へたをするとコンマ何秒単位で管理されているからである。またレンダリングをする際に、何駒かレンダリングに掛かる時間を計測して、最終仕上がり時間を推測すると言う使い方もあるだろう。今ではレンダリングが早くなったので少なくなったとはいえ、これによってあと何時間眠れるかが決まってくるので(そう、締め切り前のレンダリング時間は貴重な睡眠時間なのである)時間を有効に使うためにも計測と計算は重要な作業なのだ。
次に写真を撮る人だったら長時間露光の際のタイマーとして使うと言う使い方がある。最近では自動化が進んだとはいえ、まだ夜景や大判カメラなどではストップウオッチ片手にシャッターを切ると言う事態は結構あることなのだ。またさらに写真に凝っていてもし現像まで自分でやるなら、そのときこそクロノグラフやストップウオッチは欠かせないものになるだろう。ああ見えて現像は結構シビアで夏場などは1/2秒単位で現像液に浸す時間が変わってくるからである。このようにクロノグラフ機能は使いでのあるものなので、今となってはこの機能がない時計など考えられないくらいになっている。
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