早期警戒衛星に関する覚え書き
以前取り上げた事のある早期警戒衛星に関して新しい動きがあったので少しだけ触れてみる。
まずは最初の話題である、アメリカの早期警戒衛星の情報を日本が利用できるなると言う件について産経新聞の記事を引く。
週明けに米国国防省のミサイル防衛局長のオベリング局長が協議のために訪日する。テーマは弾道ミサイルを探知・迎撃できる日米情報共有の本格協議を開始することである。 現在、海上自衛隊と米海軍のイージス艦同士は「リンク16」で結び、レーダー情報をリアルタイムで共有している。しかし空自の地上レーダーや空中警戒管制機などの「バッジ・システム(自動警戒管制組織)」とは「平時」に限り連結されていない。 空自はこれから弾道ミサイル対策で新型の地上レーダーFPSーXXを全国4カ所に建設することを決めている。海自もイージス艦に高性能レーダーSPY1で警戒している。これらを空・海のレーダー情報を常時連結して、さらに米国の偵察衛星が捉える弾道ミサイル発射の赤外線情報ともリンクさせることを検討するという。 米空軍は横田基地に移転してくる空自の総隊司令部と、「統合作戦センター」を設置する意向を示している。オベリング局長との協議では、そのような日米レーダー情報常時共有化が協議される。
一見すると、前回懸念していたミサイルの発見プロセスについてもきちんと考えられていたような印象を受けるが、実はこの話には落ちがある。その後6/9の共同通信のニュース。
日米両国が2007年度末に配備開始予定のミサイル防衛(MD)の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)のため、米国の衛星がとらえた早期警戒情報をイージス艦で受信するシステムを、米政府が日本側への供与に難色を示していることが8日分かった。複数の日米関係筋が明らかにした。 受信システムが供与されなければ米軍経由の間接情報などに頼ることになり、MDの整備全体に支障が出ることは必至。日本側は米国と今後さらに協議を重ねる予定だ。
なんだかなあというのが率直な感想だが、一番の問題はMD計画などのミサイル防衛計画についての順番がめちゃくちゃだと言うことだ。現在予算がついて曲がりなりにも実用化しているのは偵察衛星のみで、次に進めているのが迎撃システムの中核であるミサイル周りの部分。そして最後が攻撃を察知する早期警戒衛星であり、これは上にも触れたようにまだめどすら付いてないのが実情だ。
ネット上などのうがった意見では、実はMDは昔のSDI計画のような壮大なブラフで、相手も北朝鮮ではなく中国だと言う話もあるが、こんな状況では本当にそうなのかも知れないと思えてくる。いい加減、宇宙・軍事関係の予算やロードマップも小細工なしでやって欲しい。
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