個人で衛星を打ち上げる日
(写真はVolnaロケット)
長年考えている妄想ネタ。それは自分の為の人工衛星を打ち上げると言うことである。理想的なプランはあさりよしとお氏の漫画なつのロケットのような自家製ロケットが理想であるが、この際そんな贅沢は止めておこう(単に作り上げる能力のなさもあるが)。今ではロシアが超格安で衛星打ち上げサービスを行っているのでそれを利用するのである。
何故ロシアが超格安で衛星打ち上げサービスが出来るのかと言うと、実は米露のSTART-l(戦略核戦力削減条約)とSTART-ll条約により削減されたICBM及びSLBM(潜水艦発射式弾道ミサイル)を削減しなくてはいけないものの、解体するのも保持し続けるのもお金がかかるのでいっそ人工衛星打ち上げに使って元をとってやれ(とはいえ製造費は原価割れだが)と言う事情による。
使用されるロケット(ミサイル)は2種類。R-29R(NATOコード SS-N-18 Stingray、別名RSM-50 volna)潜水艦発射型ミサイルを元にしたVolnaロケットとUR-100N(NATOコード SS-19 Stiletto)を元にしたRockotで、それぞれの打ち上げ能力は以下の通りである。
・Volna:低軌道打ち上げ能力 130kg
・Rockot:低軌道打ち上げ能力 1.4t
肝心の打ち上げ費用であるが、Volnaが$300,000 から$500,000、Rockotが日本円にして2億円前後とされている。
こうしてみるとVolnaロケットの安さが際だつが実はこれには裏がある。過去の打ち上げ実績を下に記すがごらんの通り散々たる有様なのだ。
1995年 6月 suborbital ドイツの実験モジュール 成功 世界初の打上げ
1997年10月 suborbital リエントリ・ミッション 成功
1998年 7月 orbital ベルリン大学の小型2衛星 成功 衛星は世界初
2001年 7月 suborbital Cosmos1展開試験+IRDT1 失敗
2002年 7月 suborbital IRDT2 失敗
2005年 6月 orbital Cosmos1 失敗
IRDT は、Inflatable Re-Entry and Descent Technologyの略
それとRoketのメリットは他にもある。それは1.2tの重量すべてを使い切るのではなく、その一部を間借りすることで安くすますというものである。実はここが元ICBMの良いところ(?)で、元々複数の核弾頭を発射する構造をそのまま利用することで、弾頭部は6分割して使えるようになっているのだ。しかもその1/6のスペースさえ上手く共同利用者が見つかれば分割することが可能で事実、東大と東工大が進めていた10cm角の超小型衛星「CubeSat」は他の研究機関が作った衛星に間借りする形で打ち上げられ、その費用は300万円ほどで済んだらしい。
どうだろう、これくらいならいっちょ打ち上げたれと言う気にならないだろうか。近い将来に研究機関などでなくどこかの好事家が衛星を打ち上げる日が来るのも近いのではないだろうか。
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