パンの話
元々長年の習慣で朝食はパンじゃないと駄目な体になっているのだが、最近指向を変えてバケットにチーズとコールドスープと言う組み合わせにしてみることにした。動機は実に単純な話で漫画「トルコで私も考えた」や「パリパリ伝説」などに出てくるバケットがとてもおいしそうだったからである。
ところがいざ日本でこうした普通のバケットを買おうとして気づいたのだが、想像以上にバケットというか普通のフランスパンが売られていないには驚いてしまった。フランスパンをベースにした調理パン(上に何かを載せたものやはさんだもの)や一見似ている(が明らかに中身は違う)パンは売られているのに、普通のバケットを探すと置いていないと言うのはそれを常食にしている人が少ないからだろうか、それとも菓子パンや加工した調理パンと比べると単価を高くできない分、あまり儲からないから置いていないのかも知れない。
そんな訳で出だしから手間取ってしまったが、それでもさすがに丹念に探すと近所のスーパーで売られているのを発見した。ただし数が少ないのかそれとも競争率が高いのか(注:自宅周辺は一応大学外で外国人留学生も意外に多く住んでいる)、油断しているとあっという間に売り切れてしまうのが難点である。こうして思ったよりも苦労したが、シンプルなパンの朝食は想像以上においしいものだった。
以前読んだ伊丹十三のエッセイ集「ヨーロッパ退屈日記」の中で日本の食パンをイギリス人に紹介する話があって「日本の食パンは四角くて白くて柔らかくて、それを切ってトーストして食べるんだ。」「ふーん、なんかアメリカのパンみたいなんだね。」「そう、アメリカのパンみたいなんだよ。」「なんだじゃあ、まずいんだ。」と言うようなやりとりがあるが(注:ここ記憶で書いてます)、バケットを食べるようになって自分も同じ思いを感じている。どうして日本のパンの多くはあんなに柔らかくて味がないのであろうか。
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