ロシア小型潜水艦が遭難
新聞などにも報道されているのでご存じだと思うが、ロシアの小型潜水艇が遭難した。以下CNNの記事を引用する。
ロシア当局は7日、カムチャッカ半島南部沖の海域でロシア海軍の小型潜水艇「AS─28」が魚網などにからまり深さ約190メートルの海底で浮上不能となった事故で、「AS─28」が浮上し、乗務員7人は全員無事だと明らかにした。7人は同日午前、ペトロパブロフスク・カムチャツキー港に帰還した。
ロシア海軍当局者によると、英国の無人潜水艇「スーパー・スコーピオ45」がプロペラなどにからまった魚網や海底アンテナのケーブル切断に成功。ケーブル切断を受けて、「AS—28」は自力浮上に成功した。
事故発生とロシア当局の協力要請を受けて、英国のほか米海軍も無人潜水艇や潜水チームを派遣。日本も潜水艦救出に使う特殊機具などを載せた艦船を派遣していた。
ところでこのAS-28と言う潜水艇、実はこれ自身が深海探査、救助、偵察用の多目的小型潜水艇で、バレンツ海で起きた原潜クルスク沈没事故でも同船が救助に使われた。つまり皮肉なことにミイラ取りがミイラになってしまった訳だが、ではこれを救助したイギリスのスーパー・スコーピオ45とはどんな船かと言うとイギリスが誇る新海救助艇(DSRV)である。数年前、NHKラジオの英語講座のなかで教材として紹介されたBBCのニュースに偶然この詳細が載っていたので、そこから引く形になるがこの船の特徴は高度な作業の出来るマニピュレーターと損傷したハッチにも対応できる柔軟なドッキングポートにあったと思う。ただ残念ながら肝心のテキストがもう手元にないので記憶で書いている部分があるのでもしかしたら間違いがあるかも知れない。
それにしてもDSRVも軍の管轄に入るせいなのか判らないが、どうもよく判らない所がある。特に自国のプロバガンダのせいもあるのだろうが、何処の国も自国のDSRVの性能が世界一だと称しているわりには具体的な性能等が見つからないのだ。今回も以前のクルクスの時も多くの国のサイトで自国の○○を使えば救助できるという話は見るのだが、じゃあ具体的にどう他の国と違うのかと言うことについてはとうとう見つけることが出来なかった。
ところで調べたついでに判ったことなのだが、ロシアの深海作業船が実にロシアらしいというか、すごさと悲哀を感じる事が判ったのでちょっと触れておこう。ジェームズキャメロンがアイマックスで本物のタイタニックを撮影した映像がある。これにはロシアの深海作業船「ミール」が使われいて、このクラス(深度3000m級まで潜れる船は)世界に数台しか無いそうなのだが、肝心の潜水艦救助船はロシア海軍の予算不足の影響で今回のAS-28のような比較的小型の船以外は全部稼働出来なくなっていたのである。
参考Link:日本のDSRV「ちよだ」について
モスクワの日本防衛庁筋は8日、ロシア極東カムチャツカ沖の潜水艇事故で、海上自衛隊艦艇の現場到着が英米の救出チームより遅れたことについて、空輸で使用できる潜水艇がなく、船舶輸送しか手段がなかったと説明した。
追記:どうも以前BBCで取り上げられた潜水艇は今回の「スーパー・スコーピオ」とは別物のようである。
追記2:コメント欄で指摘いただいたが、スーパー・スコーピオは新海救助艇(DSRV)ではなく遠隔操作無人探査機 (ROV)の間違いだった。追記をもって修正としておきます。
Comments
スーパー・スコーピオはDSRVではありません
ROVです。
私はその装置の製造会社におりました。
Posted by: トリエステ | March 22, 2008 05:06 AM
トリエステさま。情報ありがとうございます。
本文の方にも修正を反映させておきます。
Posted by: doku(fukuma) | March 22, 2008 08:03 PM