沖縄海兵隊のグアム移転、米が3200億円の負担要請
今月頭のニュースだが、ちょっと気になっていたので調べてみた。まずは概略を読売新聞から引いておく。
日米両政府が在日米軍再編に関する中間報告で合意した在沖縄海兵隊司令部などのグアム移転を巡り、米側が日本政府に対し、移転費用3200億円以上の財政負担を求めていることが2日、分かった。 日本側は、前向きに検討することを米側に伝えた。 日本側の具体的な負担額は今後、日米間で詰める。政府・与党内では、米軍再編の日本側の負担が巨額に上るため、防衛費とは別枠を設ける案も浮上している。また、日米両政府はグアム移転を来年3月の最終報告後、6年程度で完了することを目指すことで基本的に合意した。 関係者によると、米側は日米交渉で、キャンプ・コートニー(沖縄県うるま市)の第3海兵遠征軍司令部などをグアムに移転する方針を伝えた際、グアムでの新施設建設費などの移転費用が総額30億〜35億ドル(2005年度予算の換算レート1ドル=107円の場合、3210億〜3745億円)に上ると説明。さらに、「米軍が単独で行うと20年かかるが、日本が支援してくれれば6年程度で完了できる」として財政負担を求めた。日本側も前向きな検討を約束したという。
気になる点はいくつかある。まず「中間報告」に合意してわずか10日目でこれだけ具体的な金額が出た上で、しかも日本側が基本的に合意していることだ。後で触れるが在日米軍に関する特別協定(SMA)によりある程度の裏付けがあるにせよ、負担合意が早すぎる。これはどう考えても水面下である程度の合意が行われていたと見るのが自然である。
もう一点はさらに重要な問題で、言いがかりにすら思える今回の費用負担要求は過去の日米特別協定で既に明文化されていると言うことだ。1995年に結ばれた新たな協定内容によれば、日本は実質的に基地従業員の労務費と光熱水費、さらに日本が要求した場合の演習移転費の全額を負担することになっている。余談だが米軍駐留費を負担している国はいくつかあるものの、ここまで全面的に負担している国は日本以外にはどこにもない事も念頭に置いておくべきだろう。
しかも本来、今回の移転は米軍のトランス・フォーメーションの一環で日本側の地元負担減の要求に応えたと言うものではなく、これ以上沖縄に米軍が駐留する必要がないから撤退していくのが実情なのだ。沖縄からの早期移転を後押しする目的があるにせよ、日本側からの要求に応えて移転すると言う形を取ってしまっては移転費用全額を日本側の事情から負担すると言う形になってしまう。裏にどんな事情があるのか判らないが、少なくとも今回の移転が日本側の事情よりもアメリカの事情によるものだと明示すべきではないだろうか。
参考Link:
・Allied Contributions to the Common Defense
・Annual Report 1999
・Defense Reform Update
・Budget of the United States GovernmentFiscal Year 1999
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