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November 24, 2005

着陸に成功していた「はやぶさ」

hayabusa_on_itikawa1
 すでに一部のメディアにも取り上げられつつあるが、前回の惑星探査機「はやぶさ」の小惑星「イトカワ」サンプル採集ミッションは実は着陸に成功していたらしい。
なぜこうしたことがすぐに判らないかというと、小惑星「イトカワ」は地球から約3億2000万Km離れた位置にいて、光ですら届くまでに約16分かかる距離にいるために、地球からリアルタイムでやりとりするわけではなくあらかじめ命令を送っておいて自立的に動くようになっていて、後からそのときの出来事を地球に向けて送信するようになっている為である。
 20日の第一回目降下時の具体的な出来事はJAXSAのこちらを見て頂くのがいいだろう。また今回の考察は松浦さんのBlogが今回も詳しいのでそちらを見て頂きたい。

 さて、こうした優れた記事がある中で私の所で何か書き足すことがあるか考えたのだが、よく考えて見ると特別宇宙に関心を持っていない人にとって、今回のミッションがどんな意味があり、またどれだけ大変なのかピンとこないのではないかと思ったので、そこら辺の話を最後にちょっと補足したいと思う。
 まずは冒頭で触れた地球からの距離の話である。3億2000万Kmと言っても数字が大きくてピンとこないかもしれないが、この距離は地球から月までの833倍にもあたるのだ。もちろんこれだけ離れているとさまざまな問題が発生する。まず電波が届くまで16分もかかってしまうのでリアルタイム性を要求される動作は地球から指示してやるわけにはいかないと言う問題がある。そのため「はやぶさ」は多くの判断を自分で行って動けるようなAIが搭載されていて、今回の着陸も万が一途中で障害物があったり、なにかのトラブルが起きたときには自動的に避けたり着陸を中止したりするようになっている。そう、日本のロボット技術はこうした所でも反映されているのだ。またこの距離の為、探査機からの電波は非常に弱いものになってしまうので、「はやぶさ」とのやりとりはNASAのDSN(Deep Space Network)というものを借りて行わなければならないと言う制約が発生する。DSNはガリレオやカッシーニやユリシーズのようなNASAの惑星探査機も使用している為いつでも使えるというわけではない。そのため「はやぶさ」とのやりとりはNASAからもらった使用時間内に収めなければいけないのである。
 次に微少重力の問題がある。これは頭では分かっているもののなかなか感覚的につかむことが難しい問題で、つい地球と小惑星「イトカワ」で同じようにものが動くと思いがちだが、実は「イトカワ」上では全ての動作を地球から見て「ゆっくり」動かす必要がある。なぜなら脱出速度が15cm/sしか無い世界なのだ。分かりやすく言えば、普通の人間がジャンプするだけでも地上の引力を振り切って宇宙に飛び出してしまう世界なのである。とうぜんなにもかも「ゆっくり」動かさないと宇宙に飛び出してしまいかねない。また仮に宇宙に飛び出すほどのスピードが無くても、一度飛び上がると今度はなかなか着地出来ないので、地上では細心の注意が必要なのだ。今回の「はやぶさ」もこの罠に嵌ってしまったと言えるだろう。着陸時のデーターによると、どうやら一度着地したものの大きくバウンドして再び地上に降りてきたのは20分後だったと言うことだ。

 それにしても、本来こうしたかみ砕いた話こそ新聞などがすべきなのに、これまで一度も見かけたことが無いのはいったいどうしたことだろう。外国では"Japan's Media relations are mostly to blame."と言われたそうだが、これには全く同感である。

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