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November 22, 2005

アイヌの土地だった北方領土

 いつも見ているぺり公さんの所のプチソ連の記事で気になったものがあったので、ちょっとそれをフォローする話を書いてみることにする。まずは元の話から。

アイヌの声明


北海道の先住民・アイヌのグループと市民グループとが月曜日、アイヌのものである北方の島々を求める権利は日本にもロシアにも無いとする合同声明を、日本の外務省と東京のロシア大使館に宛てて送った。共同通信が伝えた。
北海道の4島について両国が交渉を行う際には、アイヌの意見も取り入れられねばならないと声明は述べ、日本では北方領土、ロシアでは南クリルとして知られるこれらの島々に最初に住んでいたのはアイヌだったとも付け加えた。

 さて、北方諸島及び樺太の先住民の話だが、そもそもここはアイヌニブヒ(ギリヤーク)ウイルタなどの人々が住んでいた。しかしご存じのように18世紀から日本とロシアの係争地となったため、ここに住んでいた人々は2つの大国によって翻弄され続ける事になる。
 当初は1855年の日露和親条約によって明確な境界線が定まらないまま、住民にとっては雑居地域とされていたこの土地は、1885年の樺太・千島交換条約によって樺太をロシアが千島諸島全島を日本が保有することになり、それに合わせてここに済む人たちは日本・ロシア双方によって多くの人が強制移住させられることになる。
もともと狩猟生活を生業としていた人々は、これにより慣れない農業や伝染病によって多くの人々が亡くなり、生き残った人々も元の文化や生活基盤を失うことになってしまうのだった。
 悲劇はさらに続いた。1904年には日露戦争が勃発し、勝利した日本はサハリン南部も領土に加えることになった。だが元から住んでいたウイルタやニブヒの人々は突然現れた国境により、家族や親族と引き裂かれてしまう。さらに日露両国とも当時はこうした少数民族に対する独自の文化を認めず、同化政策を行うことで彼らの文化を破壊していった。
 しかし最大の不幸はこの後に起きた第2次世界大戦だろう。最初は戦火と無縁だと思われた北方諸島だが、1942年にはソ連に対する諜報活動を行うため、15歳前後の少年達が招集された。そして1945年8月9日には日ソ不可侵条約が破られソ連が進入。そして、招集された少年達はスパイ容疑として強制収容所におくられることになる。生き残った彼らがようやく戻れたのはそれから12年後のことだった。
 また彼らに対しては、日本政府は「樺太先住民に対しては兵役法の適応は当てはまらない」事を理由に軍人恩給の支払いを却下。またソ連側にいた多くの住民も、多くは強制移住させられ代わりに多くのロシア人が入植者として送り込まれたと言う。
 両国に土地も言葉も奪われる形になった彼らの事は今もほとんどの人に知られないままである。

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Comments

こんばんは。
先住民に関しては書けば1行で終わる程度の知識しかなかったため、
ご紹介いただいた記事には何か驚きのようなものを感じて取り上げました。
何件かの反応をいただき、そこに書かれた内容を見ると
これは現在進行形の話なんだなと感じます。
一方ですでに失われてしまったものも多いというか。
fukumaさんがここで書かれている話も、共同体が透明化していく歴史を見るかのようです。
やるせないというよりショッキングな感じがします。

Posted by: ぺり公 | November 23, 2005 at 10:55 PM

 ぺり公さんこんにちは。私もそれほどこうした事に詳しい訳では無いのですが、少し知っただけでもその歴史の重さには圧倒されます。それでも今、あまりにもこうした事が知られてないのを思うと、せめてこうした形で歴史をとどめておかなくちゃと思うのです。

Posted by: doku(fukuma) | November 24, 2005 at 01:34 AM

サハリン3回行きました。

第二次大戦後の国境移動で泣かされた先住民族のほかに、ロシア系ポーランド系の日本国民(あるいは永住権者)や朝鮮系日本国民が樺太に置きざれにされました件も、どこかで取り上げてくださいませ。

でも、実際に樺太にいってみると、各民族が恨みつらみをぶちまけるよりも、一緒に「サハリン人sakhalinec」を出来ないかってことの方に関心が向けられていました。
ジリノフスキーが連れてきた鼻息荒い連中と、復活コサックの爺さんたちは別ですが・・・

Posted by: vodka | December 15, 2005 at 11:45 PM

こんにちはvodkaさん。私は実はロシア・東欧諸国は一度も行ったことがないので羨ましいです。リクエストの件、関心はあるのですがエントリーを起こせるほどの知識がありません。こうした事実は忘れ去られる前に記録に留めておきたいのですが、なかなか資料が見つからないのが難点です。

Posted by: doku(fukuma) | December 16, 2005 at 02:02 AM

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