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December 31, 2005

もうひとつのGPS"GLONASS"

 今やカーナビはおろか携帯からも使えるようになったGPSだが、これは元はアメリカの軍事用システムで船舶・航空機・ミサイルなどを誘導するためのものであった。そうした成り立ちもあり今や必至なインフラになっているにもかかわらず、GPSは米国の軍事上の理由で突然精度低下の措置がとられる危険性が残っている。またこうした理由もあってGPSは無料であっても使用するに当たってアメリカの介在を避けることは出来ないと言う問題も生じている。
 そのためGPSに代わるシステムはかつてのソ連はもとより、欧州、中国など各国で運用または計画中で、つい先日12月28にも欧州が中心となって計画された独自GPS、Galileo計画の一号機が、カザフスタンのバイコヌール基地から打ち上げられている。(EU、最初のGalileo衛星を打ち上げ[ITmedia]

 こうしたGPS対抗システムですでに稼働しているのが旧ソ連が構築し、現在ロシアが運用しているGLONASSである。
GLONASSは24個の衛星(うち3個は予備)からなるシステムで、高度19100km、軌道傾斜角64.8°(注1)の軌道3つを使用する。そのためGPSよりも高緯度地域での性能が高いのが特徴で、本格稼働すれば少なくとも高緯度ではGPS以上の精度も期待できるものだった。しかし1982年10月に1983年12月にサービスが開始されたものの、その後のソ連崩壊やロシアの経済事情の悪化でシステムを完全に構築することが出来ず、一時はほとんど使い物にならない状況だった。しかし、その後のロシア経済の回復と2005年12月のインド政府との合意によるインドの参加により、重量を軽減し寿命を延長したより精度の高い新衛星を使うGLONASS-Mシステムとして2008年にはロシア全土をカバーし2010年には全世界で使用できる完全なシステムが構築されると言う。

注:軌道傾斜角とは天体の周りを軌道運動する天体について、その軌道面と基準面とのなす角度を指す。人工衛星の場合、軌道面と地球の赤道面の角度を差す。これが0°だと赤道と平行に回っている事になり、角度が90°の場合、地球の北極、南極上空を通過する「極軌道」になる。


参考Link:
GLONASS - Wikipedia, the free encyclopedia [wikipedia.org]
wikipedia(英文)の記事
困難な道を辿るロシア製GLONASS開発
ノーボスチ・ロシア通信社の記事
問題は多々あるもグロナスの作成は必須
ノーボスチ・ロシア通信社の記事
暗礁にのりあげそうなGalileoと順調に進むGlonass
自分の書いたその後の記事、2007年初頭におけるGlonassとGalileoの状況

参考資料[各国のGPS対抗システムの概要]
GPS
thumb
運用国:アメリカ
精度:10m(民生用)、16cm(推測値)(軍用)
使用衛星数:29個(うち5個が予備機)
衛星高度:20,180km
軌道面6面
軌道傾斜角:55°



GLONASS
Glonass
運用国:ロシア(2005年よりインドが協力)
精度:70m(現在軍用民生の区別無し)(注:現用機GLONASSの値)
使用衛星数:24個(うち3個が予備機)
衛星高度:19,100km
軌道面3面
軌道傾斜角:64.8°



Galileo
運用国:欧州連合(EU)、中国、インド、イスラエル、モロッコ、サウジアラビア、ウクライナ
精度:1m(無料民生用)、1cm(推測値)(商用最高レベル)
使用衛星数:30個(予備機を含む)
衛星高度:23,222km
軌道面3面
軌道傾斜角:56°

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