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December 05, 2005

電池の話

 秒進分歩のデジタル業界においてはもう古い話になってしまうが、三洋電機より「eneloop」と言うニッケル水素充電池が発売された。これはニッケル水素電池としてはそれほど大容量と言うわけではないのだが、プレスリリースにもあるように自己放電特性が大幅に改善されたのが特徴だ。つまり電池というのはたとえ使わなくても、掘っておくと少しずつ放電して電池が消耗してしまうのだが、それがこれまでのニッケル水素電池に比べて大幅に改善されているのである。具体的にはこれまでの電池が半年後で残存率75%、1年後ではほぼなくなってしまうのに対し、これは半年後で残存率90%、1年後でも残存率85%を実現できるというのだ。
 これでも分かるように、実は電池の違いは単に取り出せる電力と容量だけではなく、実は様々な特性の違いを持っている。例えばものすごく沢山電気をためることが出来るが、何回か充放電を繰り返すとすぐにダメになってしまうものや、それほど出せる電気は多くないもののものすごく長い間使うことが出来るものなどがある訳だ。そして市販されている電池を使う製品は、こうした特性の違いを見極めて電池を決めているわけで、単に容量が大きいからと言って別のものに取り替えられる訳ではない。
 もちろん沢山電気をため込んで、半永久的に何回でも使え、しかも一度ためた電気は取り出すまでずっとそのままと言う電池があれば皆それに取り替えるだろうが、残念ながらそうした電池は存在しないのである。実は発明したらノーベル賞間違い無しで、しかも巨万の富が入るのが確実と言われているものはいくつかあるが、そのうちの一つが例に挙げたような「万能電池」なのだ。

 そんな訳で私たちは今のところ使う目的に応じて電池を使い分けるしかない状況にあるわけだが、ではどうしたときにどんな電池を使えば良いのだろうか。まず前に書いたように突然電池切れになって困るものは使うにつれてじわじわと電圧が落ちてきて、誰の目にも電池が減りつつあるのが分かるマンガン電池が良いだろう。なおマンガン電池は寿命が短いと言う欠点があったが、それを改善したアルカリ電池は自己放電率が低いので長期間保存するものに有効だ。ただこちらは使用不能になる直前に急激に電圧が落ちると言うニッケル水素電池などと同じ性質を持っているので、突然電池切れになって困るものには使わない方が賢明だろう。なお、これらは肝心の出力が小さいと言う問題があるので、長期間保存するものでも大容量が必要なものに関しては、リチウム乾電池を使うという選択もある。これは自己放電率がほとんどゼロでかつ大容量と言う理想的なものなのだが、いかんせん値段が高いと言う問題があり軍隊などの特殊用途を除いてはあまり普及しなかったのが実情である。
 これらはみな一度使ったら終わりの一次電池だったが、二次電池もまた同様に様々な特性を持っている。車のバッテリーで有名な鉛蓄電池は長い歴史があるだけあって、様々な特性を持ったものが出回っていて一律に論じることは出来ないのだが、どれも共通の問題として大きくて重いと言うのがある。そのせいもあって、最近ではニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの小型・軽量な二次電池が使われることが多くなった。しかし、どれも帯に短し襷に長しで、使っている成分が有毒だったり性能は高いものの充電条件がよりシビアになり、充電時に細かな制御が必要だったりして万能と言えるものは無いのは最初に書いた通りである。強いて言えば、大きさと重さに目をつぶれば汎用性が高い鉛蓄電池を、長期間保存するものでなくある程度小型で容量が必要なときはニッケル水素蓄電池を、ノートパソコンなど最小のスペースで最大の電力を必要とするものには充電に精密なコントロールが必要なものの今のところ最高の性能を誇る、リチウムイオン電池やリチウムポリマー蓄電池を使えばいいと言ったところであろうか。
 なお余談だが、軍用や局地作業用の特殊な用途ではさらに面白い特殊な電池(例えばたった数分しか使えないがものすごい電力を出すものなど)があるのだが、書いてるときりがないのでここら辺でこの話も電池切れと言うことにしたいと思う。

参考Link:College de CE単語学
Windows CE機に関するWebのバッテリーに関するページ。パソコン用途の電池に限らず、様々な電池の特性を一覧表にしていてとても分かりやすく参考になる。

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