住宅を買わない理由
どこで読んだか忘れたが、週刊誌の記者によると最近の2大不祥事、「みずほ証券誤発注」と「耐震強度偽造事件」とを比べると、後者の方が圧倒的に読者層が多いそうだ。いくら株ブームとはいえまだまだ株をやる人間はごく少数なのに対し、マンションを買うことを考えている人間はずっと沢山いるかららしい。
私などはどうせマンションを買うほどのお金などないし、元インテリアデザイナーで現在フリーのCGデザイナーやフォトグラファーと言う今の身分では銀行の融資とも無縁なせいもあって、マンションの購買層がそんなに沢山いるとはにわかには信じがたいのだが、仮に予算があったとしてもマンションや家などの住宅を買おうとは思えない。
実はこれは建築関係者に皆共通する考えらしく、私の周りの建築(設計・施工)関係者で住宅を買ったのは自分の身内が建てた物件を買った1人だけなのが実情なのだ。まあ、自分の周りがそうだからと言ってそれが全てに当てはまるわけが無いのは当然ではあるものの、十数人もいるうちでたった一人と言うのはある程度いまの実情を示していると言えるのではないだろうか。
買わない理由というのはいろいろあるが、なんと言っても最大の理由は原価と内幕を知ってしまうととてもじゃないが、買う気にならないと言うのが最大の理由だろう。こう書くと煽っているみたいなので補足するが、もちろん売られている住宅がどれも欠陥があったりぼっているからと言う訳ではない。しかし、ある高価な商品の原価が○○%と分かっていて、自分がその製品の作り方のノウハウを知っていたとしたら、普通は単に売られている物を買うよりは自分で作った方が安いと考えるのは自然だろう。また仮に自分で作らないにせよ、ある程度自分で手を入れるのではないだろうか。ましてや「耐震強度偽造事件」のような物件は氷山の一角に過ぎないのは暗黙の了解と言われているのであるからなおさらである。
そんなわけで多くの建築関係者は、いつかは自分の設計で自分の住宅を建てる事を思い描きながら、賃貸物件を改装したりして住んでいるのである。
なお、これは若手の話(私はもう若手とは言えなくなりつつあるが)なので、もっと切実に住宅の必要性のある年齢層(具体的には子供がいる世代)だと、ちょっと事情は変わってくる。とはいえ普通に売られているマンションや住宅をそのまま買って住んでいる人はあまりいないのでは無いだろうか。
(そういえば大学時代の恩師は皆、自分の設計の建物に住んでいたっけ。)


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