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December 16, 2005

世界報道戦争

 少し前の話になるが、北朝鮮に向け失跡者や拉致被害者の情報提供を日本語で呼び掛ける短波ラジオ放送「しおかぜ」が始まった。これは非常に具体的な例だが、このように全世界に対し自国の主張や文化・言葉などを広める為に多くの国では、外国向け放送を行っている。
 その中でも、特に力を入れているのがアメリカで、いまや英語は国際共通語としての力を着々と広めつつあるし、アメリカの影響が特に大きい日本では、外国のニュース=アメリカのニュースと言う図式すらあるくらいだ。これはCNNなどの英語による国際報道が多くの国で視聴可能だと言うのも大きいが、今回のイラク戦争で明らかになったように取材が困難な地域の場合、多くのテレビ局は他の会社のニュースをもらってきて、それを元にニュースを配信していると言う事情も大きいのだろう。しかしこれでは現地で自社の人間が取材したものでは無い以上、どうしても元の放送局側の見解が入るのは避けられないし、仮に何らかの情報操作が加えられていたにせよ検証するすべがない。また戦略的に外国メディアが自国について誤った報道を行っていた場合、もし対抗するメディアを持っていなければそれに反証する事も難しくなってくる。
 こうした事情もあって、今ではいくつかの国でCNNに対抗するような、自国による国際報道チャンネルを作る動きが出て来ている。
 一番顕著なのが、かつて(今でも)ヨーロッパの文化の中心を自負していたフランスである。もともとフランスは自国の文化・言語を守りかつ広めるために文化復興運動やフランス語教育に力を入れていて、政府直営のフランス文化センターを世界92カ国で運営したり、フランス語国際放送テレビ局TV5を24時間世界各地(主にフランス語圏)に向け放送していたが、これに加えBBCやCNNに対抗するような全世界向けのフランス語による国際報道チャンネルの開局を目指している(2006年初頭開局予定)。
またイラク戦争などで有名になった、アルジャジーラも無視できない存在である。元々、911テロなどで一方的に悪役にされることの多かったアラブ諸国であるが、ここによってイスラムの声や人々の表情が曲がりなりにも西側諸国に伝わるようになって来た意味は大きいだろう。なおアルジャジーラについては非常に参考になる本が出ているので、興味のある人は一度読んでみることをお勧めする。
 西側諸国から悪役にされることが多いという点では、ロシアもまた共通だが、それに対抗する意味もあるのだろう。ロシアでも国が出費して24時間の英語TV局を今年の12月10日に開局している。
 しかしこうした報道戦争は水面下では、直接各国の覇権がぶつかる主戦場と化しているようだ。特にアラブ諸国やロシアに対してはあからさまな妨害行為も水面下で行われているらしく、アルジャジーラにいたってはその過激な報道姿勢から同じアラブ諸国のリビアからさえ放送を阻止するため首都に大停電を起こされ、あまつさえアメリカには支局にミサイルさえ撃ち込まれている(アメリカ側の発表では誤爆と言う事になっている)。ロシアに対しても、放送開始わずか2日後の月曜日にはコンピュータ・システムへの侵入が疑われたため放送を停止する事態になっているが、結局何者が何の目的で侵入したのかは今だに分からないままである。

 さて日本はこの戦いに加わるのであろうか?

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Comments

こんばんは。
自国の映画などを外国で放送して文化面の理解を促進するのも手でしょうけど、ニュースを放送すれば社会的な出来事に関心のある人たちを沢山(言葉は悪いですが)捕まえることができそうです。
テレビを通して文字通り視点を共有できるんですね。
500年ぐらい前は大国の帆船が世界を回っていたけれど、今はテレビ電波が…と考えたりもします。
「フランス語圏」や「英語圏」など圏を持っているところは強いなあ、などとも思います。

Posted by: ぺり公 | December 17, 2005 at 03:43 AM

 コメントありがとうございます。確かに自国語が通用する文化圏が国外にあると言うのは羨ましいですね。外国語を習得しなくても言葉が通じる国が世界各地にあると言うのはどんな感じなのでしょうか。
 そうしてみるとロシアのつらいところは、冷戦時代は曲がりなりにもあったロシア語圏が事実上消滅してしまった点でしょう。上のリストでも自国語ではなくわざわざ英語で国際放送を行おうとしているのはロシアだけなのもそこら辺の事情があるのかも知れません。
(アルジャジーラは英語の放送も見当しているそうですが)

Posted by: doku(fukuma) | December 17, 2005 at 11:22 PM

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