暗視カメラの話
Hotwiredの記事によると最新のBMWとメルセデスベンツの車に暗視カメラが搭載されるという。暗視カメラと言うと、アニメやハリウッド映画でおなじみの星の光を何十倍にも増幅して夜でも昼のように明るく見えるエメラルド色の映像がイメージに浮かぶが、実は現実はさらに先を行っているのを知っているだろうか?
実はこうした光を何十倍にも増幅するタイプの暗視カメラは一世代前(第2世代)に当たるもので、現在の主流は人体やエンジンの出すわずかな遠赤外線を関知するタイプ(第3世代)が中心なのだ。では第2世代と第3世代の暗視カメラはどこが違うのかと言うと、第2世代のカメラがあくまで目で見えるもの(可視光線)しか見えないのに対し、第3世代のカメラでは物体の温度の違いを知ることが出来るという点にある。この違いは実はかなり重大でこの前のイラク戦争で一方的にイラク軍が負けたのもこの暗視装置の性能の違いによるものだと言われているくらいなのだ。例えば砂嵐や火災の煙などで見通しがほとんど効かない時に第2世代の暗視カメラでは全く見ることが出来ないが、波長の長い遠赤外線は霧や煙を通過する性質があるので第3世代の暗視カメラを持つ米軍は昼間の晴天時のように相手を見つけて攻撃することが出来る訳である。他にも止まっている車のエンジンがかかっていればエンジンの熱で明るく見えるので、止まっている車両が単に止めてあるだけなのか、それともこちらを待ち伏せているのか見ただけで区別することも出来るのだ。また地面の余熱も関知することが出来るから、ついさっきまでそこに潜んでいた相手の痕跡を追跡して行き先を知るといった芸当までも可能になっているというのだ。
このように軍事用途で役に立つせいもあって、第3世代暗視カメラの販売は非常に厳しく管理されている。インターネットで検索すれば分かる事だが、個人でこれらを買う事は出来るものの(一台100万円以上もするが)国外に持ち出したり輸入したりするのは厳しく制限されているという。
それにしてもこれらを各兵士に支給している米軍は本当にお金持ちの軍隊である。
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