国家の崩壊を読んで
「国家の罠」の著者、佐藤優氏と「突破者」の著者の「狐目の男」宮崎学氏の共著(と言っても実質は宮崎氏は聞き役で実質は佐藤氏の本と言っても良いだろう)である、「国家の崩壊」を読み始めている。
この本で書かれていることはズバリ、ソ連崩壊前後のソ連権力中枢の闘争と当時の市民生活についてである。それが当時モスクワ外交官として諜報活動を行っていた佐藤氏の視点で解説されているのだから面白く無いわけがない。おそらく日本で読める最高のソ連崩壊時の情報分析と言えるのではないだろうか。そんなわけで内容は滅茶苦茶濃くてとても一言で感想など書けるものではないので、いくつか印象的な部分に付いてのみコメントしたいと思う。
まず具体的に国家が崩壊する際にどのような兆候があるかについての部分が印象深かった。なんでも国家がダメになっていくプロセスで一番庶民にも解りやすいのが、警察がダメになっていくことらしい。だんだんと服装が乱れ初め、最後には勝手に交通違反を取り締まって賄賂を要求するようになっていくのだというのだ。またもう一つ印象的だったのは、インフレ率2600パーセントと言う社会がどんなものかと言う部分で、だれもが自国通貨を信用しなくなり、一時期は通過の代わりにタバコのマルボロが貨幣として使われたというのである。このマルボロ全盛期の話は「ロシアの正しい楽しみ方」でも書かれていたので知っていたのだが、要は別にマルボロが欲しいわけではなく、通貨代わりになりそうなある程度数が出ていて、偽造しにくく、持ち運びが楽なものがたまたまマルボロだったということらしい。普通に考えればじゃあドル紙幣にすればいいのにと思いそうなものだが、当時は公式には庶民がドルを保有するのは厳しく禁止されていたのでこうした事が起きたのだ。
最近は景気が良くなったと言われるものの、それでも日本も借金でいずれ破産すると言う話もある。私たちも警察の服装に気をつけて、日本円の代わりになるものを探しておいた方がいいのであろうか?
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