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April 02, 2006

イラン多弾頭ミサイル実験成功

 てっきりエイプリルフールのネタだと思ったのだが、どうやらネタではないようだ。
とりあえず産経新聞に掲載された記事を引く(元の記事は共同通信らしい)

 イラン革命防衛隊のホセイン・サラミ航空部隊司令官は31日、国営テレビに対し、イランが国産による多弾頭ミサイルの発射実験に初めて成功したと述べた。多弾頭化で複数の標的を同時に攻撃することが可能になり、敵のレーダー網を撹乱(かくらん)させ、ミサイル防衛システムをかいくぐることができるという。
 発射実験の場所や、ミサイルの種類は公表されておらず、詳細は不明。核兵器開発疑惑が指摘されるイランが、核の「運搬手段」になりうるミサイルの性能向上につながる実験を行ったことは、国際社会の懸念を呼びそうだ。(共同)
(04/01 00:23)

 なぜこれがエイプリルフールネタに思えるかと言うと、最新の多弾頭ミサイルは想像以上に複雑な代物で本格的に配備しているほとんど無いからである。まずは、どう複雑か今の多段頭ミサイルの仕組みを見てみよう。

 冷戦時代、ソ連の保有していたICBMが自国のミサイルよりも多いことに気が付いたアメリカはその解決策としてミサイルに複数の核弾頭を搭載することで対応することにしたのが、多段頭ミサイルの始まりである。最初は少ないミサイルで効果的に核弾頭を撃ち込む手段として始まった多段頭化だが、その後すぐにミサイル迎撃システムへの対抗や同時に複数の目標の攻撃などが出来る利点に気づいてより高機能なものに改良された。これが現在の多段頭システムMIRV(マーブ)である。
 MIRVはミサイルの最終段に再突入体(弾頭)を載せた台のようなものを置いてあり、ミサイルは飛翔中に目標を変えながら各弾頭を発射していくようになっている。文に書くと簡単だが、ミサイルは複数の目標に合わせながら次々と姿勢制御を繰り返す必要があり高度な技術を必要とするものだ。しかも最新の多段頭ミサイルはこの弾頭が10〜14発にもなっており、姿勢制御の複雑さは相当なものになっている。
 現在は、STARTなどの核軍縮条約により多段頭化は抑制される傾向はあるものの、打ち出される弾頭をダミーに替えれば弾頭は1発であっても、迎撃は非常に困難になることから、MIRV自体は今も依然として搭載され続けている。現在ではさらに突入する弾頭にも精密誘導装置が組み込まれ、各弾頭が自ら姿勢制御や回避行動を取るようになり、迎撃は益々困難になっている。

長くなったが、こんな代物なので現在、多段頭ミサイルを持っているのはアメリカ・ロシア・フランスのみでイギリスはアメリカのミサイルを導入し、中国は次世代ミサイルで実用化されると言われている。

 そうした訳で、もしイランが持つとしても、おそらく弾頭が複数あるだけのMIRVとは似ても似つかないものであるのは間違いないだろう。

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