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May 23, 2006

IKEAの人気がよく判らない

 船橋に新しく開店した巨大インテリアショップ“IKEA”が大人気らしい。なんでもニュースやネットの情報によるとGW中は周辺は大渋滞であれだけ巨大な店舗ながら、入場に3時間待ちと言う時もあったそうだ。
 今回、初めて日本に上陸したような書かれ方をするIKEAだが実はバブル直前の1974年に湯川家具と東急百貨店が代理店になる形で一度日本に上陸した事を知っているだろうか。当時、建築やインテリアを勉強しその後は店舗などの設計をやっていた自分にとってIKEAはリーズナブルな家具メーカーと言う認識はあったものの、その後の撤退劇を知っている身としては何故いまさら大騒ぎをしているのか理解しがたいものがある。
 たしかに当時のIKEAの戦略は今振り返ってみるとまずかった。郊外に巨大な店舗を作って大量に商品を売ることで話題やを安さを売りにしていたのに、他の海外ブランドのような比較的小さな店舗を中心としたことや、まだ組み立て式家具になじみのない日本人に対し海外でやっているのと同じような自分で組み立てるキット形態で販売し、あまつさえ不良品を出してしまったこと。そして何より最大の失敗は当時のバブルの風潮に合わせて安さよりも北欧のおしゃれな家具と言うキャッチフレーズでプチ高級路線を目指したのは最大の敗因と言えるだろう。
 そういった点では今回のリスタートは前回の反省を生かしただけあって戦略的には間違っていない。私はまだ日本の店舗には行ったことがないのだが、海外の圧倒的な低価格も(ワーキングチェアが19.99$からある!)きちんと反映されているようだ。
 だがそれでもよくわからないのは、あそこまでの行列である。しかも一番売れているのは家具ではなく、噂ではヘビのぬいぐるみ(これは嘘くさいが、確かに店中に置いてある)と言うからなおさら訳が判らない。話題になっているのでとりあえず行って、行ったからにはなんか記念に買っておこうと言うことだとしたらテーマパークと変わらない。つまりはそういうことなのだろう。

 元インテリアデザイナーの目から見るとIKEAの家具はコストパフォーマンスは悪くはないものの、本質的には値段相応のものである。ちょうどCOURRiER JAPONのVol.12で創業者イングヴァール・カンプラード氏が取り上げられて、彼自身の紹介と合わせてIKEAの価格の秘密の一端が書かれているのでちょっと引用してみよう。

カンプラードは家具のデザイナーに完成形としてではなく、部品ごとに分けて設計するように求めた。そのほうが場所を取らないから、輸送費と倉庫代が安く上がるのだ。また、ある行程から出る端切れは、別の製品に使うようにした。お客には自分で家具を組み立てるように求めた。

そんなわけで上京した若者や新婚世帯がリーズナブルに小綺麗な家具をそろえるにはうってつけだと思うものの、わざわざ行列してまで行くところではないと言うのが私の見解である。いずれにせよ来年には横浜にも店舗が出来るというので、そのころにはふらっと行ってみるのも悪くないのかも知れない。

参考Link:・イケア - Wikipedia
Wikipediaの解説。どうもインテリア業界の人が書いたのか妙に詳しい内容だ。
イケア (IKEA) の不思議な企業構造
税法・会計上のイケアのしくみ。巧みに税率を下げるように会計上様々な工夫が凝らされているのを解説しています。

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