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August 01, 2006

民間委託される偵察衛星

 ITproの記事によると、アメリカの偵察衛星KH-12は新規の打ち上げが滞っており、耐用年数を過ぎた状況で運営されているという。この背景には大幅なダンピング競争になってしまい、受注したものの実際には赤字になって困っているBoeing社の事情と、膨大な経費がかかる偵察衛星を運用する予算の捻出が難しくなったペンタゴンの事情によるものらしい。そのせいもあるのだろう、今ではアメリカは偵察衛星の主力を軍から民間に委託しつつあるようだ。実際、最新の商業画像衛星「ジオアイ」では解像度41cmのカメラを持ち、予算の半分をアメリカ国家地球空間情報局(National Geospatial-Intelligence Agency:NGA)が出資する代わりに、優先的に使用する権利を持っている。このような軍の民間委託はGPSなどではもはや普通になっているが、今後はこうした分野にも広がっていくのだろう。

 また、このやり方は政府(軍)にとってもメリットが多くある。まず運用するためのコストを全部負担する必要がなくなるのは当然として、商用サービスを謳うことで批判を浴びにくくなる上にスポンサーを集めやすくなるという利点もある。特に後者は日本で仮に同じ事を行うとしたら大きなメリットになるだろう。気になるセキュリティに関しても今のように衛星写真が簡単に手に入り、アマチュア天文家によって多くの衛星の軌道が解明されている現代では、最初からオープンにしてしまっても失うものは殆ど無い。それなら逆に本当に秘密にしたい画像だけを巧妙に修正して、他の画像と共に公開してしまった方が傍目にはオープンにしているように見えるから批判も浴びにくいし、場所が不明な軍事施設であればあまりにも公開されている画像が多すぎて虱潰しに探そうにも膨大な手間がかかるのでかえって探しづらくなるわけだ。

 そんな訳で偵察衛星の打ち上げは冷戦終了後から減少しているものの、商業画像衛星を打ち上げる国はむしろ増大しつつある。2006年11月にはイスラエルもイランの核施設監視を主目的とした「エロスB」をイスラエル企業「イメージサット」社に依託し「商業地球観測衛星」として打ち上げている。

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