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September 21, 2006

MVロケット廃止に関する記事のクリップ

 日本の世界最高の性能を誇るMVロケットが廃止されようとしている。MVロケットは日本が最初に人工衛星を打ち上げたのに使ったL(ラムダ)ロケットなどから続く3段式固体燃料ロケットで低軌道へは2tものペイロードを打ち上げることが出来る、固体燃料式ロケットとしては世界最高レベルの性能を誇るロケットである。
 これが次回の打ち上げで開発が打ち切られるというのだ。理由は公式には約65億円で2t以下という M-V の打上げコスト及び打ち上げ重量単価の高さの問題と言われているが、宇宙作家クラブの笹本祐一氏やジャーナリストの松浦晋也氏の記事によるともっと厄介で暗い事情が絡んでいるという。まずは宇宙作家クラブの掲示板に掲載された笹本氏の記事を引いておこう。

 つまり、まだ実機も飛んでおらず、その性能の実現も危ぶまれているGXロケットと、すでに実績のあるロケットを改良するMVロケットは宇宙輸送系としてほぼ同じポジションに並んでいるのである。
 四五〇億円を投入しながら開発が遅れているGXロケットと、165億円で開発され、すでに2トン級の性能を確立しているMVロケットを同列に語ることは難しい。そしてここに企業論理、官の論理が加わると、話はさらに難しくなる。
 ISASは、政治献金など行っていない。しかし、GXの中心企業である石川島播磨は多額の政治献金を行い、政治家の支持も取り付けている。そして、MVロケット三基分の開発予算が投じられた官民合同の第三セクターで開発されているGXロケットは、もし失敗を認めれば責任問題に発展する公共事業なのである。
 だから、実績もあり、発展性もあるMVロケットがそのままの姿で存続していると、邪魔なのである。

 そのGXロケットはLNG(液化天然ガス)を燃料とする斬新な構造が祟り、開発スケジュール及び性能に大きな疑問符が付きつつあるのが実情だ。このままではこれから何年もの間、日本は3t以下の衛星を打ち上げる手段を失った状態が続きかねない。衛星など安い中国やロシアに打ち上げてもらえばいいだろうと意見もあるかも知れない。それに関しては的川先生がパリ航空ショーで聞いた以下の話を引用したい。

今年の3月、パリで、かなり日本の事情に通じている、ある著名なロケットエンジニアが言いました──M-Vは最高のペイロード比(衛星重量のロケット全備重量に対する比率)を実現したロケットだ。それを捨て去るとは日本も気前のいい国だね。これからどんな後継機を開発しても、M-Vほど世界に胸を張れる優秀なロケットを完成することはできないだろう。北朝鮮のことがこれほど問題になっている昨今、M-Vを打ち続けるだけで相当な抑止力になると思うがね

今回の決定は国益さえも損ねていると思う。

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