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October 22, 2006

奈良県の妊婦死亡事件について思うこと

 奈良県の病院で分娩中に意識不明になった妊婦が、18の病院に受け入れを断られて死亡したと言う奈良県の妊婦死亡事件が気になっている。気になっているのは報道内容とネット上の情報に大きな隔たりがあるためだ。ニュースでは妊婦が6時間にわたり放置されてから、ようやく手術が始まった点を強調しているが、ネット上の情報を総合するとそもそも妊婦のいた病院に手術をするリソース(人・設備)は無く、受け入れを断ったとされる18の病院も受け入れる余地は全くなかったと言うのである。
 しかし警察は業務上過失致死の可能性も含め捜査を進めているという。もしネット上の情報が本当だとすれば、医者は誠意を尽くしても患者が死んでしまえば刑事罰を受ける危険性に常にさらされていると言う事になる。そしてネット上で危惧されていたのは、これによりリスクの高い患者を受け入れない病院が増え、かつこうした刑事罰まで受けるリスクの高い分野(小児科・産婦人科)などを選択する医者がいなくなれば、最終的に医療システムの崩壊を招いてしまうと言うことだ。
 実は医療関係者のBlogなどを読むと日本の医療制度は既に崩壊の危機にさらされているらしい。こうした高い訴訟リスクによる医者の減少に加え、制度的にも日本の医療保険制度は破綻しかかっており、あと5年もしたらイギリスのように心筋梗塞や脳溢血の患者ですら手術まで3日待ちと言った状況になると言うのである。

 以前、日本の未来はよい点も悪い点も全てアメリカをなぞっていると書いたことがあるが、医療システムまでアメリカ式になってしまうのだろうか。ちなみにアメリカでは先進諸国ではGDP比率で最大(15%)の医療費を占めているにもかかわらず、膨大な訴訟リスクに備えた医療費の高騰などにより、国民の16%は医療保険に入ることが出来ず、また保険に入っている中産階層でさえも癌などの死亡リスクの高い病気にかかれば医療費をまかなえずに破産すると言われている社会なのである。


参考Link:
ある産婦人科医のひとりごと : 転送拒否続き妊婦が死亡 分娩中に意識不明
新小児科医のつぶやき - その日が来たか・・・
今回のニュースに対する現場側からの考察。想像以上に厳しい医療現場の状況に驚くと共に、こうした状況が全く報道されないことに慄然とする。
新小児科医のつぶやき - 療養病床削減と都市型医療崩壊
崩壊しつつある医療システムの考察。読めば読むほど暗澹とした気持ちになるがこれが現場からの意見なのが恐ろしい。
暗いニュースリンク :ポール・クルーグマン:「私達の病める社会」
アメリカの医療システムの現状。上に取り上げたイギリスよりもさらに国民の平均寿命は短く、健康状態も悪い。

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