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November 30, 2006

転売時代

 少し前PS3の転売がネットでさんざん話題になっていたが、ネットオークションやマーケットプレイスなどの発達によって、いまや転売はあらゆる人々があらゆるジャンルで行うものになっているらしい。それを実感させるようにいくつかジャンルの違うBlogで転売行為が話題になっていた。一つは洋服、もう一つは古書についてである。
 まずは洋服の方で気になった箇所を抜粋してみよう。

 「おしゃれ感って昔は時代ごとにつながっていた。それが、ある時代からつながらなくなった。裏原宿がきっかけだと思う。限定とかナンバーをつけるとか売る日を教えないとか。そんな商売。それで300人が買って100人が倍の値段で転売する。服がかっこいいというのが、その時に何かにすり替わってしまった。服は高く売れるというものになった気がする。」

ファッション流通ブログde業界関心事」より

そして古書の方でもいまや転売は一般化しているらしい。少し前には「ネットせどり」と言うのが情報商材ではやっていた。ちなみに情報商材というのは「必ずもうかる○○を教えます」と言うアレである。どうやらあまりにも誰もがやるようになってしまってうまみが無くなってしまったのか、とうとうインプレスのSEO対策の記事(思えばこの記事も物議を醸したな)でも取り上げられるようになってしまった。せっかくなのでそこから「ネットせどり」の概要を引いてみよう。

 ネットを使ったお小遣い稼ぎには本当にいろいろなものがあります。最近弊社の営業に聞いたのですが、「ネットせどり」という結構有名なお小遣い稼ぎの方法があるようなので、ここで少しご紹介させていただきます。
この「ネットせどり」ですが、アマゾンを利用します。原理は簡単です。ブックオフなどの古本屋の店頭にある100円前後の書籍を買い漁り、それをアマゾンに出品する——ただこれだけなんですが、これが結構儲かるらしいです。
このノウハウは、以前は情報商材として10万円くらいで売られていたようなのですが、現在では結構知れ渡ってきているので、この「ネットせどり」の利ざやも薄くなりつつあるようです。

とまあこんな具合だ。
そしてその結果生じるのがアマゾンのマーケットプレイスへの一極集中と転売目的による値段の高騰である。


話はかんたんで、古本がしばらく前から、マケプレに一極集中しはじめているということ。言い換えれば、「スーパー源氏」や「日本の古本屋」をはじめとする、それまでのネット古書市場から本が払底しているのである。
いつからか、そういった古書検索サイトで検索しても、「え? こんなありふれた本もないわけ?」と驚くくらい本が流通しなくなってはいた。しかし、古書サイトでヒット0の本が、マケプレには十いくつとか出されていたりして、そういう例に珍しくないくらいお目にかかる。
これがどういう事態を招くかというと、真っ先に挙げられるのは、適正価格の崩壊。
いちばん最近、目にした例でいうと、元ナチのパウル・カレル(パウル・カール・シュミット)のベストセラー戦記『砂漠のキツネ』を買おうと思ってアマゾンにアクセスしたらマケプレで8,700円とかつけられていてのけぞった。
そんなレア本じゃないはずだが……と「スーパー源氏」を見てみると400円からある。いちばん高値で1,500円。

なにこの価格差?とふつう思うだろうが、この程度の本でも、マケプレ以外のネット古書市場には一冊もないケースというのがけっこうあるのですよ。すると、マケプレのとんでもない値付けが事実上、ネット古書市場の相場ということになってしまう。

おまえにハートブレイク☆オーバードライブ | アマゾンマーケットプレイスと古書市場とWeb2.0の行き着く果て」より

 ここからLink先ではなぜマーケットプレイスで価格競争原理が働かないのだろうと言う話になるのだが、私は単純に出品者が「ネットせどり」目的で市場が投機化した為だと思っている。投機目的の商品が流通する市場では本当の需要に加えて、投機的な売買益を狙った層が入り込むため需要が大きく変動する。しかも需要が少ないときであっても常に投機目的の売買が加わって多少なりとも需要は元よりも増大するので価格は投機化する前に戻ることは滅多にないのだ。
 じつは30年近く前の出来事だが、これと同じような事が起きて本当に必要な層が殆ど買えないほど価格が高騰したものがある。化石と隕石はかつては研究者だけが売買する小さな市場しかなかったものが、宝飾品に使われるようになったおかげで価格が高騰し、当時からは考えられない価格で売買されるものになってしまったのである。

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