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November 22, 2006

沖縄知事選の結果をミスリードする人々

 沖縄知事選の結果が判明した。今回の知事選は来年の参議院選の前哨戦と言う位置づけとされたためか、多くの関心と注目を集めることになった。結果はご存じの通り自民・公明の支持を受けた仲井真弘多氏が当選したわけだが、マスコミやBlogを見ると早速ミスリードを行っている所ばかり目に付いたのでちょっと解説してみたい。
 論調を見ると政治系Blogばかりでなく新聞までが、これは米軍基地問題で沖縄県民が現実路線を選択した結果だと書いている所が多いようだが、実はこれは間違いでそもそも基地問題など争点では無かったというのが実情だ。これは朝日新聞11月17日の記事から要点を抜粋するのが分かりやすいだろう。

全国最悪の失業率や低い所得……。19日投票の沖縄県知事選では、経済問題が大きなテーマになっている。 沖縄の完全失業率は7・9%(05年)と、全国平均の1・8倍。中でも若年層の雇用状況は厳しく、15〜29歳に限ると、13・2%に跳ね上がる。
 知事選の投票を前に朝日新聞社と沖縄タイムス社が実施した世論調査では、投票の際に「基地問題」を最重視するとした人は26%。これに対し、「経済の活性化」を挙げた人は52%に上った。知事選で、事実上の一騎打ちを繰り広げる前沖縄電力会長の仲井真弘多(なか・い・ま・ひろ・かず)(67)、前参院議員の糸数慶子(いと・かず・けい・こ)(59)の両氏も失業率の改善を訴える。
 しかし、県民の目は冷ややかだ。
 経済界出身の現知事、稲嶺恵一氏は98年の選挙で、失業率の高さと当時の県政運営を結びつけて現職を攻撃し、初当選した。2期8年の在任中に126社を誘致し、1万人の雇用を実現したと誇る。だが、完全失業率は横ばいのままだ。

 このような状況で日本政府が雇用不安を徹底的に利用しつづける中で選挙は行われた。10月21日には高市早苗沖縄担当大臣が「出来高払い発言」を行い、さらに追い打ちをかける形になった。「出来高払い発言」とは基地移転の進捗状況に応じて北部地域振興策を進めるというもので、いわば金が欲しければ、国策に協力して、さっさと基地移転を進めろということである。事実、仲井真弘多氏の当選が決まったとたん早速以下の政策が決定されるあたりは見事という他はない。ここまで露骨だとむしろ感心するくらいである。

公共事業、最大95%国が負担 米軍再編で沖縄に大幅優遇処置

共同通信 2006/11/21 沖縄知事選の結果を受けて政府は20日、米軍砕片の関係自治体に交付金を充足する新制度で、沖縄県内の公共事業に対する国の負担割合を最大95%とするなど大幅に優遇する方針を固めた。山口県岩国市など本土側の関係自治体にたいしても国の負担を上積みする。複数の政府関係筋が明らかにした。来年の通常国会に提出予定の「駐留軍事等再編成円滑実地特別処置法案」に明示する。

こうして沖縄知事選は終わった訳であるが、なぜかこうした経済問題が争点だったと書いたメディアは少ないのである。かくして沖縄知事選挙の結果はいつしか安全保障問題にすり替えられ、日米同盟の強化と国家の統制の強化が高らかに謳われるのであった。

関連Link:
タカマサのきまぐれ時評-沖縄県知事選は、全然接戦なんかじゃない
タカマサのきまぐれ時評-沖縄県知事選の結果をかたる全国紙の当事者性
極東ブログ:沖縄知事選挙雑感

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