ホワイトカラーエグゼンプションは高所得者だけが対象ならいいのか?
ホワイトカラーエグゼンプションに対する批判が高まっているのを受けてか、政府は対象となる年収を上げる方向で見直しを進めている。しかし単純に対象となる年収が上がってしまえば問題がないのであろうか。どの法案もそうだが、作るときは反対の少ない内容でもいったん施行されると、いつの間にか対象が広げられると言う事例には事欠かない。ちょうどそれを風刺するような秀逸なコメントを「新小児科医のつぶやき」の中の「2006-12-20 夢の年収による美しい国」のコメントで見つけたのでそれを紹介してみたい。
# 774 『 はじめに厚労省は、年収1000万円以上に襲いかかったが、あいつらは大金持ちだから当然だと、声を上げなかった。むしろ妬みもあって大賛成したぐらいだ。
次に厚労省は、年収800万円以上に襲いかかったが、独身貴族を楽しむブランド物ばかり買う人たちだからと声を上げず、むしろ賛成し、1000万以上の人は既に無関心だった。
次に厚労省は、年収600万円以上に襲いかかったが、私にはそんな収入はなかったので、声を上げなかった。年収800万円以上の人は既に無関心だった。
その次に厚労省は、年収400万以上に襲いかかったが、まだ私は若くてそんな収入はなく、声を上げなかった。年収600万円以上の人は疲弊して、うつろな目をしていた。
そして厚労省が、全労働者に襲いかかったとき、私のために声を上げてくれる人は、誰もいなかった。
はじめに御手洗と八代は、ニートに襲いかかったが、ニートは社会不適応の役立たずのクズだから、声を上げなかった。
次に御手洗と八代は、フリーターに襲いかかったが、フリーターは勝手気ままな人生を好むバカだから、声を上げなかった。
次に御手洗と八代は、派遣社員と非正規社員に襲いかかったが、私はそのどちらでもなかったので、声を上げなかった。
その次に御手洗と八代は、郵便局員と地方公務員に襲いかかったが、彼らは血税で美味しい汁を吸う寄生虫だから、声を上げなかった。
そして御手洗と八代が、正社員に襲いかかったとき、正社員のために声を上げてくれる人は、もう誰もいなかった。』
ちなみに元ネタはこれ。
「はじめにナチスは共産主義者に襲いかかったが、
わたしは共産主義者ではなかったから声を上げなかった。
次にナチスは社会主義者や労働組合員に襲いかかったが、
わたしはそのどちらでもなかったので声を上げなかった。
次にナチスはユダヤ人に襲いかかったが、
わたしはユダヤ人ではなかったから声を上げなかった。
そして、ナチスがわたしに襲いかかったとき、
わたしのために声を上げてくれる人は、もう誰もいなかった。」——マルティン・ニメラー
ナチスに対して果敢に抵抗したとされるルター教会牧師マルチン・ニメラーの戦後における告白。
丸山真男「現代政治の思想と行動」より引用
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