« 三が日が終わる | Main | ホバリングへの道5 »

January 04, 2007

処刑された独裁者・副大統領に祭り上げられた独裁者

 昨年末、イラクの元大統領サダム・フセインが処刑された。それは確かにイラク新政府の裁判で裁かれた結果ではあるが、裁判の判事を初め多くのメンバーの選定にアメリカ政府が関与した事は確実だ。今でも正当性を問われる東京裁判の教訓からアメリカは直接自国が関与せず、傀儡を使って戦争裁判を行うという方法を学んだわけだ。

 前置きが長くなった。戦争に敗れしかも戦時中に虐殺を行った指導者はフセインに限らず、戦争犯罪者として処罰されると言うイメージがある。ましてやその裁判にアメリカが関わっていればなおさらだ。しかしそれは現実ではない。アフリカの小国シエラレオネは1990年から国内のダイヤモンドの利権を巡り、隣国リベリアも介入して10年以上も内線に明け暮れた。当時の反政府ゲリラのボス、フォディ・サンコウはその中でも特に悪名名高い「独裁者」であった。彼は兵士を調達するため、無垢な子供を誘拐し、逆らうものは手足の切断や目をえぐるなどの拷問を繰り返した。当時のシエラレオネの犠牲者は正確な記録が残ってないものの少なく見積もっても5万人を超えるという。
 内戦は終わりサンコウは当然、処刑さえるかと誰もが思った。しかし彼はアメリカの後押しにより、副大統領に祭り上げられたのである。全ては彼が指揮するRUFそしてそこと対立するCDFを武装解除に応じさせる為であった。つまり、過去の虐殺行為を不問にしてダイヤモンド鉱山の利権を与える代わりに、停戦合意と武装解除を受け入れさせたのだった。当然、シエラレオネ国民は激怒した。当時英国BBCのアフリカ向け放送の中である婦人が番組のインタビューに答えて以下のように述べている。テーマは「9.11とテロ世界戦」についてだった。

主婦「テロ世界戦を終結させるために決定的な方法をミスター・ブッシュに提案したいと思います」
キャスター男「ほう。その方法とは?」
主婦「それは、オサマ・ビン・ラディン氏をアメリカ合衆国の副大統領に任命することです」
キャスター男「………」
キャスター女「(あわてて切り出す)どうしてその方法が良いと思うのですか?」
主婦「なぜなら、この方法は内戦を止めるためにシエラレオネで実地されたことで、大虐殺の首謀者で、何千人もの私たちの子供の手足を切った反政府ゲリラのボス、フォディ・サンコウを副大統領に祭り上げたのは他でもないアメリカなのです。そのおかげで私たちの国では今、武装解除が始まろうとしているのです」
キャスター男「……。あっありがとうございました。次のかたに行きましょう……」

もちろん主婦はブッシュに対し本気で提案したわけではない。世界の弱者アフリカから強者アメリカに対して痛烈なブラックジョークを放ったのである。

参考文献:武装解除-紛争屋が見た世界

|

« 三が日が終わる | Main | ホバリングへの道5 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/76620/13326421

Listed below are links to weblogs that reference 処刑された独裁者・副大統領に祭り上げられた独裁者:

« 三が日が終わる | Main | ホバリングへの道5 »