軍事部門を備えるガスプロム
漫画・アニメーション・ゲームの中では国家に匹敵する特殊兵器を装備した軍事部門を持つ巨大企業というものがある。パトレーバーに出てくる「シャフトエンタープライズ」やゲーム「バイオハザード」に出てくる「アンブレラ」などが分かりやすい例だろう。
だが事実は小説よりも奇なりではないが、Foresight5月号によればロシアの世界最大級の天然ガス会社「ガスプロム」と、そのパイプラインを担う国営企業トランスネフチに対し、独自の武装組織を持つことをロシア下院で見当しているという。その内容は内務省が提供する重火器や航空機を含むもので、まさに軍隊と呼べるものだ。
この軍事部門はもちろん単なるはったりではなく、実は合理的とも言える目的に沿っている。それは政情不安なアフガニスタンやチェチェンに面するカフカス地方や南ロシアのパイプラインをテロリストから防衛すると言うものだ。これらの地域では既にガスパイプラインに対する攻撃が頻繁に行われ、今の弱体化した内務省管轄の軍・警察では既に警備が困難になっているという。
Foresightの記事では、これに対しロシア内部でも同社会長のメドベージェフ第一副首相の勢力拡大に繋がるため対立しているシロビキの反発があると書いているのだが、私の見方はちょっと違う。むしろこれは引退後のプーチンの天下り先(プーチンが大統領引退後、ガスプロムのトップに収まると言う説は根強い)強化のためにむしろ積極的に行われるのではないかと思っている。それを裏付けるかのようにガスプロムは今、プーチンの拠点サンクトペテルブルグに本社ビルを建築中で、しかもそのビルは911の教訓も生かしたテロなどの武装テロに対抗した防御策が施されたものになっている。まさにプーチンが入るのにうってつけの所ではないだろうか。
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