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May 25, 2007

今週の「専務 島耕作」が高速増殖炉のプロパガンダに見える件

 今週の「専務 島耕作」ではかなり強引に高速増殖炉「もんじゅ」を見学するストーリーが盛り込まれている。 作者の弘兼憲史氏は政府の顧問格なのでなんらかの働きかけがあったのだろう。
 まあそれはどうでも良いのだが、作品中の説明にミスリードがあったのでちょっと突っ込んでおこうと思う。前半の高速増殖炉の仕組みや意義についてはよく調べているらしくいいのだが後半が頂けない。作中ではウランは石油や石炭と違って特定の地域に偏在してないので、資源外交の影響を受けないような事を言っているが、これは完全なミスリードだ。他の資源と同じく当然ながら産地に偏りがあり、その35%がオーストラリアそして19%がカザフスタンが占めている。そう実質この2国だけで半分近くを占めているのだ。そして日本はこれまでその需要の殆どをオーストラリアに頼ってきたのだが、それが最近ようやくカザフスタンからの割合を増やす事で合意が出来たのが現状なのである。
余談だが、この資源外交はかなりなりふり構わないものだったらしい。中国がよくアフリカ諸国で資源を確保するために独裁国家に協力して批判を浴びているが、ウランを巡る外交では日本を含め各国は決して中国の事を言えた義理ではない状況だった。これをてきめんに表しているのがカザフスタンを巡る報道や各国の動きで、事実上独裁国家とも言えるカザフスタンの政治体制について批判はおろか報道すら殆どされないのがそれを物語っていると言えるだろう。(幸い豊富な資源による富のおかげでカザフスタンの国民の満足度は高いのだが)
 あともう一つのミスリードは高速増殖炉の技術的な難易度が高いことに一切触れず、多くの国が開発を進めているように書いていることだ。だが実際は高速増殖炉の開発は困難の連続で日本とフランス以外は殆ど行っていなかったのが実情だ。しかも「もんじゅ」に関しては1995年12月8日に冷却材のナトリウムが漏れて火災を起こし、しかも事故後のプレスリリースで事故直後のビデオ映像があることを隠蔽したため、プロジェクトは一時完全に頓挫する羽目になっているのである。
どうせ漫画で取り上げるならせめてこうした影の面についても言及して欲しかった。

参考Link:極東ブログ:日本もカザフスタンのウランにはなりふり構わぬ資源外交

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