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May 05, 2007

新憲法大綱案の笑えない内容

自民、民主、国民新など超党派の保守系議員有志でつくる新憲法制定促進委員会準備会が発表した新憲法大綱案の内容が北海道新聞で取り上げられたのだが、その内容が頭が痛い。

 自民、民主、国民新など超党派の保守系議員有志でつくる新憲法制定促進委員会準備会(座長・古屋圭司衆院議員)は二日、天皇を国家元首と明記し、「防衛軍」創設などを盛り込んだ新憲法大綱案をまとめた。三日に東京都内で開く憲法フォーラムで正式発表する。
 大綱案は提言の形を取っており、天皇制については象徴天皇制を維持しつつ、条文で天皇を国家元首と位置づけ、皇位継承権は男系男子に限定する考え方を示した。
 戦力の不保持と交戦権否認を定めた現行憲法九条二項は全面削除。首相が最高指揮権を持つ「防衛軍」を創設し、「国際社会の平和と安定に寄与できる」ことを明記するとした。集団的自衛権行使の権利明確化、国民の「国防の責務」、軍事裁判所の設置、憲法改正発議要件緩和も打ち出している。
 準備会は今後、現在二十五人の参加議員を拡大して「新憲法制定促進委員会」を発足させ、大綱案をたたき台に条文化作業に入り、各党の憲法論議に反映させる考えだ。

 すでに「はてなブックマーク」を初めとしていろんな所で突っ込みが入っているが、元の文が憲法案だけあって分かりづらいので、いくつかかいつまんで取り上げてみたいと思う。
 まず前提として憲法の定義が根本から間違っている。小室直樹先生の受け売りではないが、憲法とは国民を縛るためのものではなく、国家を縛るための命令なのである。具体的には第98条に以下のような内容ある。
「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、勅令及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」
これによって仮に政府が暴走しても歯止めがかかるようになっているのである。振り返って新憲法法案を見てみるとやたら国民の義務や責務ばかり強調する記述ばかりが目に入るが、こうした内容は憲法で規定するものでは無いのが分かってないのだろうか。

 もう一つとても妙なのが以下の部分である。

権利には義務が、自由には責任が伴うという共同社会の基本原則、および基本的人権の普遍的価値を承認しつつ、わが国の歴史、伝統、文化に基づく固有の権利・義務観念をふまえた人権条項を再構築し、現代の要請に対応する新しい人権を積極的に導入する。

人権と言った場合、民主主義国では普遍的なものとして扱われる。もちろんローカルな違いや国情により制限されることに違いはあるもののの、少なくとも「人権」自体は共通のものであることが前提だ。だからこそアメリカがあんなにうるさく人権問題で他国に口をはさむのだし、我が国は独自の人権があると言っている、中国やイスラム諸国(の一部)が批判されているのである。この草案を作った議員の方々は日本もそうした国の仲間入りをさせたいのであろうか。しかも続く構文にはこんな内容まである。

「公共の福祉」という曖昧な概念に代え、人権の制約原理として、「国または公共の安全」、「公の秩序」、「他者の権利および自由の保護」など、より明確な概念を規定する。

国と公共はイコールではない。だからこそ公共の利益を守るために国を訴えた裁判などが起こるのではないか。この新憲法下では国の責任を巡る行政訴訟などは違憲になるのだろう。

他にも基本的人権の項目の中に「多神教的風土に配慮した政教分離原則の緩和」とあるが、多神教的風土だからこそ国が単独の特定宗教を支持しないのではないか? それに公明党が与党の現状で政教分離原則の緩和と言うのも薄ら寒いものがあると思うのだが、そんなことは気にならないのだろうか。

 まあこうして突っ込んでいくだけでキリがない代物なのだが、この綱案を作った議員の面子を見ると「図書館に所蔵資料の訂正を求める」戸井田とおる議員や「祖国のために命をささげるエリートを育てて血を流して戦わせよう」と主張する稲田朋美議員などがいるのだから、ある意味当然とも言える内容なのかも知れない。


関連Link:天皇は国家元首、九条二項は全面削除だそうで

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