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July 13, 2007

未来のデザイン

 乗り物でもいいし家電でもいい、未来の工業製品といったらあなたはどんなイメージを思い浮かべるだろうか? 私が子供の頃はまだ高度経済成長が信じられていた時代と言うこともあり、未来の工業製品と言ったらより早くより大きくそしてより多機能なものだった。東京-ニューヨーク間を僅か数時間で結ぶSST(超音速旅客機)、原子力で駆動する燃料補給の必要のない超大型機、日常の些細な家電ですら決して使い切れない膨大な機能が付いていることが良しとされた時代だった。当時の映画もその気分を反映したものだった。「2001年宇宙の旅」の中では今は無きパンアメリカン航空が宇宙ステーションに定期便を運用していて、既に月にまで恒久的な滞在基地が建設されていることになっていた。
 2007年の今振り返ってみると何一つ実現しなかった訳だが、当時はこれが「リアル」で「正しい」事だったのだ。
 では今の時代「正しい未来の工業製品」とは何なのだろう。その答えは再び映画やマンガの中にある。何度も映像化された横山光輝の「ジャイアントロボ」の最新のアニメ版は1992年から6年間に渡ってに制作されているが、その中では全ての工業製品は無公害の「シズマドライブ」を動力源にしていて、唯一「ジャイアントロボ」だけが原子力で動いているのだが、作品中ではそれは「忌まわしい事」として語られている。また身近な経験では学研から未来の交通機関のCGイラストの仕事を受けた事があるのだが、その時の打ち合わせではバリアフリーで無公害をテーマにして欲しいと言われたことを覚えている。また大学のゼミの同窓会で後輩から聞いた話では、かつて我々の頃はもっとも優秀な学生しか入れないと言われた工業デザイン科は今では全く人気が無く、エコロジーや自然環境と共存する生活をデザインすると言う環境デザイン科がもっとも人気があるという。
 そして未来のデザインはいつの間にか、かつて我々が夢見た超音速旅客機や原子力エンジン搭載機などではなく、太陽電池で駆動する完全無公害な飛行船や、障害を持った人でも運転できるAIサポート機能の付いた電動カーになっていたのである。

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