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January 08, 2008

「社会奉仕」が利権と結びついたとき

 今日の読売新聞によると政府は裁判の判決で懲役刑などの執行を猶予する条件として、公園の清掃や落書きの消去などを無報酬で行うことを命じる「社会奉仕命令」を導入する方針を固めたと言う。まずはどんなものか概略を引いてみよう。

 政府は、裁判の判決で懲役刑などの執行を猶予する条件として、公園の清掃や落書きの消去などを無報酬で行うことを命じる「社会奉仕命令」を導入する方針を固めた。
 実刑と執行猶予では大きな差があり、中間的な処遇が必要と判断した。新たな選択肢が加わることで執行猶予の判決が増え、刑務所の過剰収容に歯止めをかける効果も狙っている。政府は2008年中にも、刑法と刑事訴訟法の改正案を国会に提出することを目指している。
 社会奉仕命令の導入により、裁判所の懲役や禁固の判決は、〈1〉実刑判決〈2〉社会奉仕命令を条件にした執行猶予付きの判決〈3〉条件のない執行猶予付きの判決――という選択肢ができることになる。
 法相が社会奉仕命令の導入を法制審議会に諮問した背景には、刑務所の過剰収容の問題がある。刑務所などへの収容人員を収容定員で割った収容率は、97年末に79%だったが、06年末には102%に増加。01年末以降は収容人員が定員をオーバーする状態が続いている。

 以前、ネタで「強制ボランティア」の話しを書いたことがあるが、ネタではなくこれで強制的に社会奉仕させられる世の中になるわけだ。もちろん犯罪者に対する刑罰の一環だからいいだろうと言う考えもあるだろう。確かにこれがきちんと運用される分にはそんなに悪い話しではない。しかし歴史を振り返るとこれが利権と結びついたとき恐るべき悲劇を招いた例があることを忘れてはならない。

 旧ソ連のラーゲリー(シベリアの収容所)に膨大な人間が送り込まれ、強制労働の末多くの人が亡くなったのがまさにこの強制労働が利権に結びついた悲劇だった。実は多くの人がシベリアに送り込まれた背景は恐怖政治の果てに政治犯を弾圧するためのものはなく、まさに利権のためだったのだ。当時からシベリアには豊富な資源があることはわかっていたのだが、その過酷な風土のためその開発は難航した。しかしシベリアに送り込んだ犯罪者を労働力に当てることで開発が進むようになると、当初は純粋な懲罰目的だった収容所送りはやがてシベリア開発のための貴重な労働力確保の色彩を帯びるようになってきた。さらにそれは各収容所毎にある程度の独立採算制を認め、開発で出た利益の配当が監督官達に配分されるようになっていた事がより事業化の拍車を招くこととなった。第二次大戦が始まる直前には収容所の規模は最大となり、足りなくなった人手を確保するために半ば言いがかりに近い罪状で多くの人が送り込まれる状況になっていた。ようやくこの状態が終わったのは、より多くの人手を更に重要な事項である祖国防衛に回す必要が出てきた第二次世界大戦が始まったからである。

 さすがに日本でここまでひどい状況にはならないだろう。しかし今でも外国人労働者を「研修」と言う名目でただ同然でこき使っているのを見ると、一抹の不安を感じるのである。

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