年齢と味覚の話
少し前に話題になったモスキートと言う装置がある。これは大人になるにつれ周波数の高い音が聞こえなくなるのを利用して、17KHzという高い周波数の音不快なブザーを流し店頭や駐車場などでの迷惑行為をする若者を追い払えるというものだ。これを逆手に取って若者の方も「大人に聞こえない携帯の着信音」としてこの音を利用するようになったと言う後日談もあるのだが、今回の話と直接関係ないのでここまでにしておこう。
実はこうした子供にしか関知できないと言うものは音に限らず存在する。悲しいことに人間は年とともにいろんなところが衰えていくので、音に限らずいろんなところの感度が落ちてしまうのだ。例えば目の水晶体は年とともに屈折率が衰えて老眼になってくるし、透明度も落ちてくる。そして舌もまた感度が落ちてしまうのだろう。私の周りですばらしい舌を持った人を何人か知っているのだが、年とともに薄い味のものを「味が無い」と言うようになり、味付けもだんだん濃くなっていくのを見るにつれ、それは今では確信になりつつある。そういえば年を取ると苦いものが食べられるようになるというのもあるいはこれと関係あるのかも知れない。
悲しいがこれも人間の宿命なのだろう。お年寄りに料理を出す機会があるときには、それを頭の隅に置いてちょっとだけ味付けを濃くしてあげて欲しい。
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