書評:日本に足りない軍事力
どのジャンルにも限らずマニアと言うのは口うるさい人種である。逆にそのマニア達からも尊敬を集め、かつTVなどで一般向けの解説までも出来るならその人は専門家としても一流に違いない。
本書の著者の江畑謙介氏は軍事と言うジャンルにおいてまさにそれが当てはまる一流の専門家である。この本の中ではその著者の視点から、自衛隊における現状の能力で出来ること、出来ないこと、さらにはその原因や解決方法までもが書かれている。その内容は非の打ち所が無く、何故このアドバイスに従ってすぐに改善できないのかと思う程だ。とはいえ庶民と無縁に感じられる「軍事」と言うジャンルでも、いやそうしたジャンルだからこそ、議会や法律の承認が必要だ。本書を読めば判るが自衛隊の問題点のいくつかは現状の憲法や法律が現時点の国際情勢に既に対応できない事から生じている。またどうするかの選択肢も結局は我々が選ばなくてはならない。そうした点からも日頃、軍事に全く興味の無い人でも本書は読んで欲しい一冊だ。
また逆に日頃勇ましい事を言っている人々も、ぜひこれを読んで本当にそれが出来るのか、またどうしてそれが出来ないのかを知って欲しい。
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