規制緩和の影で規制が進むネット通販
規制緩和と言う言葉がスローガンになってからずいぶん経つが、実はその影でちゃっかり規制が強化されようとしているものがいくつかある。
一つ目はインターネットでの薬の販売だ。こう書くとなんだか誤解されそうなので補足するが、もちろん非合法な薬の話ではなくごく普通の薬局で売られているような薬の話である。普通に薬局で売られている薬は大きく分けて3種類に分類されているのだが、最もリスクの高いAグループは対面販売を必須とし、Bグループも原則として対面販売。Cグループのみネット販売など通販を認める形になるというのだ。ちなみにCグループの薬はビタミン剤や整腸剤などごく一部で、私たちが普通に買うような薬はほとんどがBグループに属している。なんでも厚生労働省の言いぐさでは「リスクを避けるために対面販売で説明を受けて販売するため」と言っているそうだが、果たして薬局で買うときにどれだけ説明を受けてるだろうか。またネットでもボタン一つで買えないようにあらかじめ説明ページが表示されるようにしている所もあるのだが、こうした事は「説明」にはあたらないらしい。ネットで薬を買う人の中には地方で周囲に薬屋さんが無い人や、病気やけがで外出もままならない人もいる。こうした人を切り捨てる形でリスクを減らすと言うのでは、ネット通販を規制して一部の小売店や役人の利権を守るためだと言われても仕方がない。
二つ目の対象はこれもネット通販でよく使われている「代引きサービス」が上がっている。こちらは金融庁曰く「消費者保護のために倒産時の安全網が必要」と言う言いぐさなのだが、そもそも代引きサービスは商品が届く前に支払いをするのを避けるために行われているのに、本末転倒ではないだろうか。ちなみに代引きサービスに対しては金引換サービスを営む宅配便業者を「資金移動サービス業」と規定して消費者を守るために何らかの規制をかける形にしたいらしい。と言うことはどうやら代引きサービス自体は無くならずに済みそうだが、この話なにか裏がありそうだ。どうせ「安全なサービスを守るため」と言う名目で天下り団体をこしらえて、宅配業者あたりから金を巻き上げるつもりなのだろう。ちなみに多くのネットショップでは薄利多売で代引きの手数料でかろうじて持っている状態なので、これが無くなったり規制によりコストがかさむようになれば多くの店が潰れるだろう。
かくしてネット通販は規制され、またしても銀行・既存商店が優遇され天下り団体が作られるのだろう。
参考Link:「薬のネット販売規制案、見直しを」――ネット薬局が要望書
Comments
■金融庁と宅配業、「代引き」バトル 規制巡り対立-代引きは大昔から存在した取引形態、何をいまさら?
こんにちは。金融庁の規制、わからぬでもありませんが、相当昔から代引きという商習慣があったわけですから、いまさら崩すような規制はかけないほうが良いと思います。もし、宅配業者が運悪く代金を顧客から受け取った後倒産したとしても、それに対して代金を支払った顧客が補填をしたなどということはないと思います。また、これからも消費者が補填するなどありえないと思います。昔から、そのような場合は、宅配業者に委託していた事業者がリスクを引き受けていたのだと思います。規制をするにしても、法律などでそのへんを明確化する程度で十分だと思います。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
Posted by: yutakarlson | November 16, 2008 09:54 AM
こんにちはyutakarlsonさん。
ブログ拝見しました。こうした情報は参考になります。ありがとうございます。
Posted by: doku | November 18, 2008 12:42 AM