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December 15, 2008

「裁判員制度」で企業犯罪捜査が骨抜きになる日

 日経ビジネスオンラインの12月11日に興味深い記事が載っていた。それはコンサルタント会社「大光」の脱税事件に関連してキヤノン・鹿島・大分県選出の国会議員なども含んだ大規模汚職事件の疑いが濃厚だと言うものである。そのさわりをちょっと引用してみよう。

 その丘陵地は大分市の東部になだらかに広がっていた。所有者は大分県土地開発公社。その土地に大分県知事、広瀬勝貞(元経済産業省事務次官)の強い要請で進出したのが「キヤノン」。「キヤノン」はここにデジタルカメラ生産の「大分キヤノン」、プリンター関連の「大分キヤノンマテリアル」の2工場を建設したのだった。
 「キヤノン」の2工場進出にあたって「大光」はスーパーゼネコン「鹿島」に用地造成と工場建設を受注させようとわざわざ「キヤノン」の役員名で県土地開発公社幹部あてに上申書のような手紙まで書かせるような周到さで受注を成功に導いていた。
 この結果、「大光」は「鹿島」から約30億円を受領したにもかかわらず、それを申告していなかったことを東京国税局に指摘されたのが事件の発端となったのである。
 疑惑は脱税だけにとどまらない。申告されなかったカネが裏金として地元政界や大分県選出の国会議員などにばら撒かれているのではないか、という疑惑も持たれているのである。

 しかし記事によるとこの事件は東京地検特捜部長就任後初めて手がける大型独自事件であるにも関わらず、いわゆる“小さな小さな会社の大きな大きな脱税事件”だけで終わるのではないかと見られている。その理由は流動化する一方の政治状況の中、事件が政変を呼び起こすことを検察が嫌がっている事と、なにより2009年5月から開始される「裁判員制度」で大企業の協力を取り付けなければならないからだと言うのである。どういう事かというと、「裁判員制度」は一般国民が裁判員として裁判に一律参加することを前提としているだけに、企業などの理解が得られなければ根底から制度が崩壊してしまう。そのために財界の同意は不可欠だという訳だ。
 皮肉なことにこの事件、そういった意味では悪い条件がそろっている。キヤノンは経団連のトップ企業だし、しかも「大光」はそのキヤノン・経団連トップの御手洗氏曰く、「(大光の)大賀さんとは幼馴染みだ」という関係なのだ。
 記事ではこう結んでいる「(最高検察庁次長検事である)ガンの摘出手術を終えやせ細った笠間が、遠回しで現場を指揮しているかのような状況こそ、現在特捜部が置かれている現実を象徴するものはない。」

 こうして裁判員制度を進めるために、企業犯罪は今後ますます不問にされて行くのだろう。そして企業は「裁判員制度の為に社員を休ませるわけにはいかないねえ」と言っておけばいつでも司法に圧力をかけられるようになるわけだ。かくしてますます景気が悪くなる中で、企業は自由に脱法行為を繰り返し、社員をとことん搾り取るようになるだろう。

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