多忙で美食家用のリアル・システムキッチン
少し前にHatena界隈でシステムキッチンと称して自炊周りのノウハウを紹介するのが流行っていたのに遅らせながら便乗してみたい。
○目的
まず最初にフォーマットに従って目的を宣言する。私の場合、仕事が異常に忙しくなる事もあって時間的に料理を作るのが困難になる事が多発する。さらに問題なのは集合住宅の定めとして夜の12時を過ぎると洗い物などの音が響くので料理するのが気まずいと言うことだ。そんなわけで目的は安く美味しく手軽なのは努力目標に止め、とにかく忙しくても自炊を持続する、そのためには時間を金で買う事もいざというときはやむを得ないと言う事に設定する。ちなみにこの究極のスタイルはオリジン弁当や冷凍食品を駆使しておかずは作らないというものだがそれでは自炊の意味がない。そこで基本的には休日に仕込みそれを平日に消費すると言うスタイルを取ることにする。また何故か好きなものを作っているうちに和洋中からイタリアン・韓国・ロシア・沖縄料理とあらゆる地域の料理まで無節操にレパートリーに加わったので、なるべく多くの地域に対応できる汎用性の高いものを目指してみた。
○前提とする準備
- 大型装備
- 冷蔵庫(大型が望ましいが、自分の管理能力を超えたサイズだと奥からかつて食品だった何かが発掘されるなどの悲劇を招くので、自分の身の丈にあったものを選んで欲しい。なお冷凍庫は必須なのは言うまでもない。)
- 電子レンジ(冷凍食品を初めストックした食品を暖めるのに必須)
- オーブントースター(電子レンジと一体型でも構わない。これがあれば材料をとりあえず耐熱容器に入れ、後はオーブンに任せて他の作業に専念できる。ちなみに高機能になればなるほど楽が出来るので、財力と相談して選んで欲しい)
- ガスコンロ(魚を焼くグリルもついていて、なるべく口が多い方が同時にいろんな料理が作れて便利だ。ただしこれも自分の処理能力を超えた数だと、鍋を焦がす元になるので自分の能力にあったものを選んで欲しい)
- 食器棚等は常識の範囲で、ただしこれが最適化されているかでスピードは大きく変わってくる
- 小道具
- 大鍋
- 中華鍋(超便利!中国人がこれと中華包丁だけで大半のものを作れるだけの事はある)
- フライパン
- 包丁(基本的に1本で十分。ただしよく切れるものを、なお私はよく切れて手入れが楽と言う矛盾した用件を満たすため、ステンレス製の高級包丁を使っている)
- まな板(大きければ大きい程便利だが、得てして賃貸のキッチンでは置くところが無いのが問題だ。出来れば2枚あると同時に2つの料理を平行して加工出来るので重宝する)
- サランラップとアルミホイル
- キッチンペーパー(キッチンタオル? 洗う時間を考えれば平日はキッチンペーパーを使い捨てるしかないのは当然だ)
- プラスチック製密閉容器(休日に仕込んだ食材を保存するのに使用する)
- 密閉できるガラス瓶(瓶詰めや本格的な保存食を備蓄するのに使用する。平日時間のない者にとってこうした保存容器は必需品だ)
- ざる(個人的には柳宗理のものなど、洗うのが楽なものを選ぶべき。洗う時間を短縮するのも重要な事なのだ)
以前書いた関連記事
・中華鍋とエスプレッソメーカー
・料理は楽し2(中華鍋の話)
○調味料
- 塩(味付け用の岩塩と日常使いのもの2種類)
- 砂糖
- 醤油
- 味噌(うまい味噌汁の為には良いもの選ぼう)
- みりん(言うまでもないがみりん風調味料は不可だ)
- 油(何種類があるのが望ましい。個人的にはオリーブオイルは必須だ)
- ラー油
- お酢(ビネガーと米酢)
- ヨーグルト&サワークリーム(ロシア料理好きな自分にとってこの2つは調味料である)
- バター(同上)
- 粉チーズ(輸入食料品店で安売りしている事が多いので、その際にまとめ買いをしておく)
- 豆板醤
- 甜麺醤(本格中華ではこちらも必要)
- 紹興酒(中華料理で調理酒として用いるが大部分は普通の飲用酒として消費されるw)
- チキンコンソメ
- 中華だし
- 片栗粉
- 小麦粉
- etc
今ある調味料を書き出すと膨大になりすぎるのでここら辺で止めておく。多くの人が書いてるが良い素材を適当な調味料で味付けするより、普通の食材に良い調味料を使った方が美味しくなるのは真実だ。逆に言えば良い調味料をふんだんにそろえればグルメの舌も満足させられるし、調味料を変えるだけで結構○○風になるものだ。
そんなわけで美食家の私は上に書いた以外にも、ナンプラーなどのエスニック食材や豊富なハーブなどをふんだんに揃えている他、油やお酢も複数揃え料理に合わせて使い分けている。
なお調味料の中には賞味期限があるものも混ざっているので、それは使い切れるように少量づつ買うのがポイントだ。特に良い調味料ほど賞味期限が短い傾向があるので(また旨い分、すぐ味の劣化が目立つ)そんなものは量り売りなどを利用してやりくりして欲しい。私の場合は以前も書いたフォムファスを活用している。
以前書いた関連記事
・タレを変えて簡易エスニック
・油の話
○乾物とスパイス
- 鰹節(和風だしはこれで取る。削ったもののパック入りを使用。ちなみに本当の鰹節は枯節と言い黴漬したものが本物だ。だがいまやこの行程を省いた製品が横行しているどころか、本物の鰹節を黴が生えていると思って捨ててしまう者すらいるというから嘆かわしい。ブルーチーズだってしっかり表面に黴が生えているのにみんな食べているではないか。)
- 増えるわかめ(味噌汁の具などとして)
- 黒胡椒(粒で買う。粉にしたいときはミルで引けば香りも飛ばないし保存が利く)
- 唐辛子(出来れば粉と実の2種類)
- ワサビ・おろしニンニク・ショウガ(これらは横着してチューブ入りを使っている。ちなみにチューブ入りでも真夏に室内に保管していたところチューブがぱんぱんにふくらんでしまったことがあるので、開封したら冷蔵庫に入れている)
- 昆布(実はあまり使ってない)
- 乾燥ハーブ各種(ちなみにハーブは庭やプランターで育てておくのが理想だが、そうでない場合はフリーズドライのものが保存も利き便利だ。私はローレル・ディル・パセリなどをよく使う。特にディルはロシア料理において普通の調味料のように沢山使うので必需品だ。)
- 花椒(これも胡椒同様に粒で買う。正統派麻婆豆腐では辛みは唐辛子ではなく花椒で付けるのだ)
- ドライトマト(イタリアンに必須)
- クルミ(料理用には無塩のものを。あると便利レベルのものなので無理に揃える必要はない。)
- 海苔(私の場合、韓国海苔が中心)
その他、備蓄食糧を目指すなら乾物を増やすのは有効だ。いざというとき用に保存も利くし、レパートリーも増えるからである。
○その他
- ミネラルウォーター(必需品では無いが、これがないと駄目な人もおおいだろう。ちなみに私はガス入りのものを愛飲。)
- 牛乳(料理にも使うので欠かせない)
- コーヒー(毎日5杯は飲む必需品。手間とコストから最近はカップに載せて一杯ずつドリップ出来るパックを愛用。上手く探すと結構安売りしているので一杯20〜30円程度に抑えられる。下手な清涼飲料水よりずっといい。)
○主食
- 米(いろいろ試したがブランドよりは炊き方の方が味を左右する。そんな訳で最近はリーズナブルな「きらら397」が中心。)
- パン(ペリカンのパンが中心)
- パスタ(幸い輸入食料品店で生パスタが安く売っているのでそれを使っている。早くゆだってしかも乾燥パスタよりずっと旨い!)
関連記事
・土鍋のご飯の炊き方の話
○主菜系
要するにコースで言う肉or魚。私の場合、主に閉店間近のスーパーで安くなっているものを利用している。そのためその日にならないとメニューが決まらない問題があるが、基本は肉or魚で後はその時の気分で○○風に仕立てれば良い。上にも書いたが調味料と油で大抵のエスニック(風)料理は出来るのだ。とはいえいつもスーパーで安売りをしている訳ではないし、忙しくてスーパーに行けないこともあるだろう。そんなときのために以下のような食材はストックしてある。
- ベーコン(必需品。ブロックで買った方が安いので固まりで買い、必要に応じて切り分けて使用する。塩分が多いので半ば調味料と考えてこれをメインにはしないこと。)
- ランチョンミート(私は輸入食料品で調達しているOhポーク!と言う沖縄産の一口サイズのものを重宝している。)
- コンビーフ(これだけで立派なつまみにもなるし、野菜や卵と炒めても良い。ただしこれも塩分が多いのでその分味付けを薄くすること。)
- 卵(安くタンパク質を取るにはこれがいい。料理のレパートリーであらゆる国の料理にも対応出来るのも便利だ。)
- 豆腐(備蓄は効かないが、これもコストパフォーマンスの良いタンパク源)
ちなみに豆類もコストパフォーマンスはいいが、料理に手間が掛かるのが難点だ。したがって忙しい私は納豆類を除けばたまに缶詰を利用する程度である。そうそう書き忘れたが肉も炒めた挽肉は冷凍が効くし、ブロック肉はコンフィにするという手がある。これなら1〜2週間は余裕で持つだろう。
○野菜類
忙しい人間一人暮らしの人間にとって結構野菜は鬼門である。大体、調理に手間取るしものによっては一人では多すぎるものがあるからだ。そんな訳で私の場合、味噌汁の具か耐熱容器にベーコンと一緒に入れて塩胡椒しオリーブオイルを垂らして電子レンジでチンするケースが非常に多い。ちなみに主に買うのは以下のようなものが中心だ。
- ジャガイモ
- タマネギ(これらは保存が利くので重宝する。ただし暖かい時はジャガイモが発芽する危険があるので冷蔵庫に入れておくこと。)
- ピーマン
- ブロッコリー
- トマト
- シメジ・マイタケ
- ニンニク(半ば調味料、すり下ろすのが面倒なときは上に上げたチューブ入りを使う)
- ナス
- ほうれん草
なお長期保存の利く野菜としてもっぱら私はザワークラウトを愛用している。輸入食料品店で上手く探すとかなりでかい瓶入りで3〜400円程度であるからだ。また無ければ自分で下に書いたように漬けるという手もある。ちなみにトマトとキノコ類はロシア風塩漬けにして常備品と化してるが、キャベツも同様の方法で漬けられる。
関連記事
・ロシア風トマトの塩漬けを作る
さて想像以上に長い記事になってしまった。本当はさらに参考にした記事のように在庫管理や配送なども書こうかと思ったのだがさすがに面倒になってきた。そんな訳で気が向いたら書き足したり続編を書くかも知れないが、とりあえずこんなところで終わりにしたい。
Comments