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October 13, 2009

日本のアニメや漫画におけるソ連について(中編)

 前回に引き続き"A LOOK AT THE PORTRAYAL OF THE USSR IN JAPANESE CARTOONS"(日本の漫画・アニメにおけるソ連)の訳(もちろん意訳)を掲載する。予想通りボリュームが凄くて、今回も終わらなかった。平日はとても訳す暇は無いと思うので、この続きはだいぶ後になるのは了承して欲しい。
(なお訳の間違い等があればコメント欄で指摘してもらえるとありがたいです。注:コメントは承認制)

 恐ろしいソ連の情報局は事実上、張り巡らされた外国のスパイ組織網を使って世界のあらゆる場所で地政学上の問題に関与した。しかし現実の諜報員が行う複雑で秘匿された諜報活動は(地味で分かりにくいので)アニメのアクションには向いていない。その代わりKGBは「フルメタル・パニック!」の傭兵ガウルンのような派手な悪役としてか、有名なB級アニメ「クリスタル・トライアングル」に出てくるばかげた紫色のローブを来たKGBが連れてきた考古学者のように描かれていた。しかし所々おかしな所はあるものの現実のリアルさを取り入れた例としてはTV版パトレーバー9話「上陸 赤いレイバー」が上げられるだろう。これはKGBの士官がマシンと共に日本に逃亡してくると言う、1979年にベレンコ中尉がMig-25を使って北海道に強制着陸した亡命事件を下敷きにした話である。

これらの冷戦時代のシナリオはどれもKGBと言う組織が敵役であり、登場するキャラクターは(名前こそあるものの)無個性な存在を超えられなかった。説得力のある描写にもっとも近いアニメは2001年のアニメ「ノワール」まで待たなければならなかった。この話の中の、私的な理由で「民族浄化」実行した元KGB将校ユーリ・ナザーロフに復讐する為にヒロイン霧香が雇われる話では、ソ連で現実に行われた少数民族に対する政治的弾圧や何世紀にもわたる紛争を反映させている。これはBee Trainの作品にあるような一時的な言及よりもずっと良い、評価に値するテーマだろう。

十分不思議なことだがアニメにおけるもっとも有名なソ連人は実は東ドイツ人そのものだった。ソ連を中心とした占領軍が鉄道や自動車そしてそれらエンジニアを根こそぎ接収したおかげで殆ど何もない瓦礫の中から再建したにも関わらず、再び主要な東側衛星諸国として浮上したこの国は、ドイツ民主共和国(東ドイツ)は社会主義体制におけるソ連の輸出文化の重要な要素であった。そして私はユング・フロイト(「トップをねらえ!」に登場するソ連からのパイロット候補生)がジークムント・イェーン(東ドイツ初の宇宙飛行士、なお西ドイツの宇宙飛行士が飛ぶのはもっと後)を奮い立たせたことを確信している。だが彼女の搭乗機シズラーは別として(訳者コメント:原文ではAside)フロイトは残念なことに結局の所サングラスとブロンドのアメリカナイズされた「生意気な外国のライバル」のテンプレート過ぎなかった。実際、魅力的なソ連人のキャラクターはソ連崩壊まで登場しなかった。そして、見込みのない目標のために戦っている反逆者の典型として好戦的な元ナチスと邪悪なマルクス主義者の革命家ばかりが作品には登場し続けたのである。

ソ連崩壊後に登場する(魅力的な)新しいタイプのソ連人の一例はブラック・ラグーンに登場するバラライカだろう。彼女は精鋭部隊のVDV(空挺攻撃部隊)で部隊を率いていたが、その後ホテル・モスクワと呼ばれるロシアンマフィア組織に転向し大幹部になっていると言う設定だ。米国海兵隊の様に、VDV(空挺攻撃部隊)はソ連のエリート部隊のシンボル的な存在で迷彩服の下に独自の横縞模様のシャツ着ている事で識別できる。バラライカの祖国に貢献するエリート兵士から犯罪組織への移行と言う経歴は職業軍人として悲しくなるほど典型的だが、一端戦闘マシーンとして育てられた人間が経済的な支援もなく、そしてこれまで正しいとしていたイデオロギーも否定され、いきなり路上に放り出されたら自然の摂理としてこうなってもおかしくない。そして(ソ連崩壊後の)「混乱の90年代」は数学者が構造保持変形と呼ぶものを生じさせた。(訳者注:ここは何度読んでも意味が分からなかった)
後編に続く

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Comments

「構造保存変換」は次の段落の「表向き社会は変わったがクソな社会はそのままだった」という内容を言っている単なるジョークで、理解しなきゃいけないような深い意味はない気がします。

ジョークで「好きな人と一緒に過ごす時間は短く感じますよね。それが相対性理論です」って言うみたいなものかと。

Posted by: 木戸孝紀 | October 14, 2009 at 08:56 AM

木戸さん、コメントありがとうございます。
なるほどそれは確かに言えますね。後半を訳すとき早速、中編にも反映させたいと思います。
ありがとうございました。

Posted by: doku(fukuma) | October 15, 2009 at 12:51 AM

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