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October 11, 2009

日本のアニメや漫画におけるソ連について(前編)

 速水螺旋人氏のtwitterで「日本のアニメや漫画におけるソ連について(英文)」と言う記事を知る。どうも著者はロシア人らしいのだがソ連海軍将校の叔父の思い出から始まるこの記事は第二次大戦からの日本とソ連の関係もふまえたなかなかに読み応えがありそうだ。(後半の日本のアニメにおけるKGBの影響とか面白そう)
 そんな訳でがんばって訳そう(もちろん意訳)と思ったのだが、いかんせん長文なのと私の英語力が貧弱なこともあって1回ではとても終わりそうもない。そこで中途半端ではあるが、前半1/3ぐらいまでで勘弁して欲しい。
(一応、後半も訳すつもりだが忙しかったり気力が尽きたりしてとぎれるかも知れないのであしからず。なお訳の間違い等があればコメント欄で指摘してもらえるとありがたいです。注:コメントは承認制)

日本の漫画に見るソ連・ロシア

 私たちが津軽海峡に入ると船の調理室のテレビは(日本の)テレビを受信できるようになった。乗組員達は狭いŠilelisに集まりこれまで見たこともないTVの輝きに見入っていた。異国の侍・女官・白粉を塗った顔。TVの熱狂的なトークショーの司会は(我々にとっては)完全な外国語で話していた。それから4時間余りの時間、私たちはその非現実的な番組から離れることは出来なかった。
 最近の家族の集まりで、ソ連海軍将校としての私の叔父の最初の国際航海の思い出として話されるのがこの話だった。「もしかしたら我々がこれを見て(間違った日本のイメージを膨らませている)ように、連中も同じように我々を見てるかも知れないね」と誰かがジョークを飛ばしたが、それこそがこの記事の狙いなのである。


 地理的には近いにも関わらず、西側に残った日本にとってソ連は不可解な存在のままだった。そして平均的なロシア人は抑圧的な全体主義的政権の一部と最初に見なされていた。そして個々の民衆は(全てがでたらめと言うわけではないが)一つの巨大な軍事組織のように硬直した経済システムによって支配されていたと見なされていた。平和の使節として活動している一定の努力にも関わらず、消防士は軍隊のような階級を持ち、日常品も軍需工場によって生産され、地図はスパイ活動を防ぐため故意のエラーが含まれていたせいもあってこのイメージは覆すことは出来なかったのである。

 国内では調子の良い宣伝機関が若者の精神を完全なものにするために活動し、全ての18歳の男性は2年間の徴兵でその効果は最高潮に達するのだった。タジク人の大工もユダヤ人の科学者もヤクート人の漁師も軍隊では全てが国歌の歌う「長年のルーシの栄光の元に」赤い脅威の恐ろしいひげ面のバーサーカーとして銃剣を装着したAK-47を掲げるのだ。ソ連の領土と狭い海峡によって切り離されているだけの日本にとってこれは決して抽象的な脅威では無かったのである。

 とはいえソ連内部の話が出来るインサイダーのグループがいた。1945年に赤軍に降服し、ソ連を横切って強制収容所に収容されたおよそ60万人の日本兵達である。彼らの一人、元陸軍飛行兵の木内信夫は抑留体験を豊富に説明されたスケッチによって収容から本国送還までの経験を残している。

 遠い異国の囚人として彼はスターリン体制下での多くの平均的ロシア人労働者の生活について記述している。戦後吹き荒れた粛正の嵐の中、国自身が巨大な軍産複合体を再建する為に無秩序に広がった強制労働キャンプと化していた。そのため木内氏は採石場での過酷な労働に使役され、シラミの来襲を受け、同僚が飢餓や酷い風邪で死んでいくのを見ることになるのだった。そしてそれは厳しい凍った気候の中で道路や運河、工場建築に従事していたソ連の市民とそれほど大差ないものであった。

 1959年にソ連と日本の間の国交が回復すると、ようやく殆どの抑留者は家に帰ることが出来た(このときの日本人の勤勉で欠陥のないその仕事ぶりの評判からソ連の地方政府は彼らを帰すのに気乗りがしなかったと言われている。特に労働者の大部分を彼らに依存していたサハリンや千島列島ではなおさらだった)。その後、日本はソ連の中で資本主義国の中では2番目に大きな貿易相手国となるほど健全な貿易相手になったが、北方領土の損失に対する憤慨は、そこを支配していた古くからの競争者の間で長年の反感を拡大し、領土回復を掲げる国家主義者の復活に煽られるように日本はソ連との平和条約を拒絶した。そしてこの状態は今も続いている(両国の間には今も正式な平和条約が署名をされない状態で残っている)。こうした事は日本におけるソ連の見方を、西側諸国におけるプロパガンダのイメージ通りに狭める事を確実にしていった。そうソ連は多くのアニメーションの中では究極の赤い悪魔の手先であるKGBとして描かれていたのである。

中編に続く

日本のアニメや漫画におけるソ連について(中編)
日本のアニメや漫画におけるソ連について(後編)

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