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November 13, 2009

夢の新素材

Steel_poster

 鉄鋼業界新卒採用のポスターのキャッチフレーズ「かっこいいものはいつだって鉄で出来ている」がちょっとtwitterでネタになっていたのだが、その内容が興味深い。曰く「いやかっこ良いのはコンクリだろ」「いやアルミやFRPだ」etcと様々な素材が上がっているのだ。

 これで思い出したことがある。実はちょっと調べ物をして新素材について調べていたのだが、面白かったのは各時代毎に新素材のイメージが様々に変化していったことだ。
 産業革命以降にはなにより黒光りする鋼鉄が最新の時代のイメージだったのが、戦後軍需産業で大量生産されていたアルミニウムが(終戦によって需要が減ったため)民間にあふれると、今度はいつまでも錆びずしかも軽いアルミこそが新しい時代を象徴する素晴らしい素材として脚光を浴び、さらにその後の高度成長期にはプラスチックがそれに加わるのだ。そんな訳で戦後アメリカではトランクから車、さらには普通の家具までアルミによって作られたり、タッパーが主婦の憧れの素材となり何とタッパーでコスプレしたパーティさえ行われた(帽子代わりにタッパーをかぶったり、穴を開けて腕輪代わりに身につけるのである!)。余談だがこの裏にはタッパーを売りたい販売店が販売方式にホームパーティ方式を採用したこともあるらしい。おかげで今では「タッパー パーティ」と言う言葉はイベントを行って参加者に高価な調理器具を売りつける悪徳商法に近いイメージにまで落ちぶれてしまっている。
 しかしオイルショックで石油の値段が高騰するとプラスチックの輝きは急速に失われる。さらに環境問題の高まりから分解できないプラスチックのイメージは更に落ちていくのである。
 興味深いのはこうした素材のイメージは産業の発展と密接に結びついていることだ。大韓航空爆破事件で逮捕された北朝鮮の元スパイ、金賢姫の手記の中で見た話だが、今でも北朝鮮国内ではプラスチックは憧れの素材で、たとえビニール袋でも人々は洗って何度も再利用していると言う話が書かれているし、つい最近までは中国でも高く売れるからと言う理由でおもちゃなどが実用性を無視してプラスチックで作られていたと言う。
 あと興味深いのはこうした憧れから新素材のフェイクが作られることだろう。これは我々も笑えない。今でもカー用品店やスポーツ用品店に行けば分かるように「カーボンシート柄」のフィルムがカーボン風に見せるためだけに売られているからだ。またカメラメーカーなどもつい最近まで「チタンコーティング(チタン製ではない)」のカメラを売っていたのを覚えているだろう。
 こうして見てきたようにこうした何が新素材かは育った国や時代によって変わってくる。そして一度すり込まれたイメージは容易に変わらない事からも、たとえ技術革新で新しい素材が出てきたところで子供頃にすり込まれた素材のイメージはいつまでも各自の心に残り続けるに違いない。なるほどtwitterでも紛糾する訳である。

 さてこれからの夢の新素材はなんだろう。実は新素材を知る上で目安となるのが釣り竿やゴルフクラブそして自転車などの趣味のジャンルである(この他にもちろん軍事用途があるのは言うまでもない)。これらのジャンルでは一見採算度外視でも新素材採用が成り立つため(要はどんな値段でもお金を出す層がいる訳だ)惜しげもなく新素材が投入される。そしてそこを見てみると、どうやらこれからはカーボンナノチューブ金属ガラスがこれからのトレンドになるのだろう。

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