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January 19, 2010

天然ガスの埋蔵量を激変させるシェールガス報道を検証する

 まずはシェールガスとはどんなものか、以下のダイヤモンドオンラインの記事を引用する形で触れておこう。

全米で「シェールガス」という新型の天然ガスが大増産され、その余波が世界中に及んでいるのだ。日本の総合商社もこの地殻変動に商機を見出し、参戦を始めた。
シェールガスとは、泥土が堆積して固まった岩の層に閉じ込められているガス。米国では膨大な量が埋蔵されていたが採掘が難しく、放置されていた。ところが「硬い地層からガスを取り出す技術が確立されたことで、数年前から開発が一気に進んだ」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の市原路子主任研究員)。
「シェールガス革命」と称されるこの大増産は、米国のガス戦略を根底から覆した。米国エネルギー省の2004年版長期エネルギー見通しで、25年の輸入依存度は28%と試算されていたが、最新の09年版では30年の依存度でもわずか3%と、前代未聞の大幅見直しがなされたのだ。実際、米国で確認された天然ガスの埋蔵量はわずか3年で2割以上も増えた。(後略)
これに続き本文ではロシアに天然ガスを依存していたヨーロッパ諸国がロシアの影響から逃れるためにシェールガス探査に着手している話や、天然ガス輸出国であるロシアやカタールがダメージを受けている話などが続いている。

 ただ気になるのはググってみると判るが、このニュースは昨年の4月には既に報じられている話なのに何故今になって取り上げられているのかと言うことだ。そこで更にググると色々と興味深いことが判ってきた。まず今回の報道の中心が米エネルギー省エネルギー情報局の分析を引く形でブルームバーグが流していると言うこと。そして殆どの記事中でロシアの石油天然ガス会社"ガスプロム"を牽制している事である。

 案の定、株式は妙な動きを見せてるようで2ch株式板では早速話題になっていた。例えばこんな書き込みを見るとよく分かる。

シェールガスの記事を見て
昨晩からググッていたのですが
シェールガスの採掘は数年前はら序序に行われているようですが
なぜか、国内の資料は昨年に纏められたモノが小数で
しかも天然ガス価格が暴落していると報じた記事は無く

天然ガスの最大輸出国カタールを書いた記事には
天然ガスは価格上昇気味でカタール経済は絶好調という提灯記事しか見当たらないのです
実際にはシェールガスのおかげでスポット価格は暴落して
カタール政府は真っ青になっているようです。

この情報の違いは何なのでしょう
私もシェールガスについて知ったのは15日の記事を見たのが最初です
どこかで狡猾な情報統制がおこなわれていたのでしょうか?
 こうした事から今回のニュースは元々あったニュースを何らかの意図で再度報道した感じが強い。ではその意図は何なのだろう。株式や先物などの市場価格に対する働きかけももちろんあるだろうが、その他に気になるのは今回の報道では昨年4月時点で流れていたシェールガスの問題点について殆ど触れられていない事である。前回はこうしたメリットや展望はあるものの、シェールガスの生産量拡大の為には多くの水が必要などいくつかの問題点があること(アメリカでは地下水の汲み上げ過剰が問題になっている)、アメリカの他にもいくつかの国でシェールガスが精算され、特にカナダが有望な事が触れられているのだが、それが流されていない点が気にかかる。

 ところでシェールガスの生産量拡大で真っ先に影響を受けそうなロシアはどう動くのであろうか。ちょっと調べたところ、以下のようなオプションを展開するようだ。

1.天然ガス版OPEC(GECF)の生産量・価格統制力を強化する。
これまでのGECFは事務局長を選定できないなど、組織力でOPECにはほど遠いものだったが、これを機会に組織力を強化し価格カルテルなどをもうけるというもの。これまでは各国の利害が大きいので難しいと言われていたが、アメリカがシェールガスの生産量を上げてくれば対抗するために各国が協力する可能性はあるかも知れない。

2.中国との協力強化
これまで支払い条件などで折り合わず、ヨーロッパを重視していたロシア(ガスプロム)だがこれを機会に中国側と協力を強化する可能性は高い。中国もまた陸続きでパイプラインさえ引けば安定した市場になるからだ。この場合、日本への天然ガス供給の優先順位は下げられるだろう。ただし実は中国国内にもシェールガス採掘可能な場所は多いのではないかという調査結果もあり、中国側が自国でシェールガス採掘を目指す可能性もある。

3.アメリカ国内のシェールガス採掘会社の買収
有料情報なので詳細にアクセスできないのだが、驚くことにガスプロムはアメリカのシェールガスを採掘する会社の買収を目指していると言う話が流れている。実はこれまでエネルギー分野に限らず米・露とも相手の主要な会社に対し買収を仕掛けたことは何回かあるのであながちガセとも言い難い。
こうして見てみるとこの件は今年の国際ニュースや経済ニュースのポイントとして頭の片隅にでも入れておく方必要がありそうだ。

関連:その後のシェールガスのまとめ
その後の情報や参考情報についてまとめてみた。

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