分断化政策と官僚肥大化への道
子供手当を巡る世論・「非実在青年」都条例案など最近話題になっている政策や世論には意外な共通点があると言ったら驚くだろうか。それは公務員や官僚機構を肥え太らせ、人々が互いに憎しみ合う事に繋がる点だ。
分かりにくいと思うので噛み砕いて書いてみよう。例えば子供手当は見事なばらまき政策で抜け穴が色々あるのが問題になっているが、それではこれを厳密に運用するとしたらどうしたら良いだろう。
手っ取り早いのは不正出来ないように申請を難しくして、さらに厳密に審査することだ。だがそうなると障害を持っていて外出や書類作成が困難な人は申請を出すのが難しくなる。また普通の人でもめんどくさいからいいやと言って申請しなくなる人も出てくるだろう。逆に申請を受ける側は今よりも人と時間を割かなければいけなくなり、予算と人が必要になってくる。それを無理に少ない人数でやろうとすれば今度は申請が通るまで膨大な待ち時間がかかるだろう。かくして申請は減り、公務員はさらに予算と人が使えるようになる訳だ。そしてサービスは万人のものから一部の人のものとなり、ますます普通の人はサービスを使う人を特別視するようになるだろう。そしてこれは生活保護で現在起きている事なのである。
次に「非実在青年」都条例案について見てみよう。もしこれが通れば著作物を出す人はその都度「御上」にお伺いを立てる必要が出る訳だ。特にこの前東京都議会で自民党が中心になって出した案では何が駄目なのか曖昧なのでなおさらお伺いを立てる必要が増してくる。たとえ自分の判断でOKだとしても御上にとってはNGかも知れないからだ。かくして作品を出すのは面倒になり、御上は審査機関を立ち上げて思う存分人を送り込み、利権を確保していくのである。
地獄への道は善意で舗装されていると言うことわざではないが、人々が「きちっとやってもらおう」「きちんとしなくては」と政府に言えば言うほど実は社会は分断化され官僚機構は肥大していくのである。
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