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May 28, 2010

解雇規制緩和論の嘘

 未だに定期的にビジネス誌やネットで解雇規制緩和論をよく見かける。これらの論調は基本的には世代格差や失業率、劣悪な労働環境が改善されないのは解雇規制で人材の流動化が無いからで、解雇規制を緩和すれば流動性が高まって労働条件が悪い所から良いところに人が移動でき、また人材の流動化で転職のハードルが下がるので企業も気軽に人が取れるし、労働者も転職のハードルが下がるので失業率も改善されると言うものだ。
 だが私に言わせればこの議論は空論だ。例えばNYTimesの今年2月20日の記事によれば、労働者の流動性が高い筈のアメリカでも長期失業者が630万人にも達しており、これは過去30年間で最大の数字だと言うのである。(図参照)(関連:米国を苦しめる途方もない雇用喪失
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 また労働条件の改善で言えば、いわゆる「ブラック企業」の人材流動性は極めて高い(要は数年で辞めてしまう分、中途でもばんばん人を取っている訳だ)が、こうした会社の労働条件は劣悪だ。逆に人材の流動性は特に高くないものの一時期は超長時間労働で有名だった医師や看護師の労働条件は最近改善が進んでいるという。(参照)理由は簡単な事で「求人>求職」のバランスによって労働条件を良くしないと人を集めることが出来ないからだと言う。

 これらの事から判るのは解雇規制の緩和は世代格差や失業率、劣悪な労働環境の改善にはあまり関係なくただ企業が人を切りやすくなる事に繋がると言うことだ。

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