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September 08, 2010

労働環境の悪化で起きる本当の問題

 現代ビジネスで「秋なのに『就職が決まらない』大学生だらけ」と言う記事で今年の就職難で、東大・慶応・早稲田といった有名校でさえ80社受けても内定がもらえず、大学院進学を選んだ人もいるという。そうでなくてもこのところ「くら寿司」が内定後にマインドコントロールまがいの合宿形式の社員研修を行い、その中で内定辞退書を強制的に書かせて退社させると言った事件や、人材派遣会社で過酷なノルマから逃げ出した社員を捜し出して殺すというような事件など働く気をなくすような事ばかり起きている。
 こうした状況に対して未だに「能力の無い人間だからしょうがない」だとか、また一見懸念しているようでも「国際競争力が落ちる」「年金や財政が悪化する」などの経済的損得からのみの意見ばかりが目につくが、本当の問題はこうしたことでは無いだろう。
 本当の問題は、労働と言うものに対する価値観や美徳が破壊されてしまうことである。それはそうだろう。一生懸命働こうとしても働かせてもらえず、しかもその理由が当人の能力が無いせいにされてはよほどのモジベーションの持ち主でも意欲を維持するのは難しい。そして仮に働く場があってもそれが劣悪な環境で搾取されるような所なら自ら意欲を持って働くことは難しい。また働く目的や方向も何かをしようと言うよりは「とにかく安定して食っていく」事に重点が置かれ、プラスアルファよりマイナスを極力避ける方向になるだろう。また逆にそれでも果敢に働こうとする者も成功モデルが見つかりにくく、かつ失敗したときのリスクが大きい今の状況ではより手っ取り早く利益のみを求める方向に向きやすい。なにせチャンスは少なくリスクは多いのだ。そしてちゃんと就職しても労働スタイルは変わらざるおえない。終身雇用やキャリアパスが不明瞭ならば外国の労働形態のように、リスクを極力避けて言われたことだけこなし自分から持ち出しの労働を提供しない(一生懸命やっても見返りが見込めないなら当然だ)か、逆に会社を当てにせずにキャリアやスキルを身につけるベースとして活用し、もっと条件が良いところがあれば直ぐに転職すると言うスタイルになるに違いない。

 一時は企業戦士とまで呼ばれた日本の労働者の忠誠心と勤勉さもこうして失われていくのだろう。その後にくるものは何だろうか。外国のような会社にとらわれない自立した働き方になるのか、あるいは混沌に沈んでいくのか。

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