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January 09, 2011

書評:食の職 小さなお店ベルクの発想

51ithvky2kl_sl500_aa300_ JR新宿駅東口改札口のすぐ側にベルク(BERG)と言う知る人ぞ知る飲食店がある。ここは「安い・美味い・早い」の3拍子がそろった素晴らしい店なのだが、ここ数年大家に当たるルミネから一方的に立ち退きを迫られている関係でこれまでも何度か取り上げてきた。

 堅苦しい前置きになったが、今回取り上げた本は副店長の追川氏自らがこの店の食の秘密について書いたもので、純粋に食べるのが好きな人なら誰でも楽しめる内容になっている。またお店の運営から出しているメニューについても惜しげもなく披露されていて、飲食店経営を目指す人にとってもまたとない参考書になりそうだ。
 ただ飲食店経営を目指す人が読むと、読めば読むほどベルクと言う店は特殊な、言い方を変えれば希少なお店だという事を痛感するに違いない。よく大手のフランチャイズに対抗してヘルシーやスローフードetcなどのスローガンが叫ばれるが、この本を読むとそれをごく普通に実践する事がいかに大変か判るからだ。とはいえここは別に特に主張があってこうしたスローフード的な手法をとっている訳ではない。単に限られた条件の中でいかに美味しいものを作れるかを追求した結果としてこうなったに過ぎないのだ。
 一読して特に感じるのはこのお店の関係者に共通する美味しいものを作りたいという情熱だ。多少手間が増えようが、一見割高になりそうだろうが少しでも美味しくなるなら様々な工夫と手間を惜しまない様子は利用者としては「えっ、このメニューの裏にこんな手間暇がかかっているんだ」と驚くに違いない。また実際に材料を卸してる職人さん達との対談では、惜しげもなく「美味しくするための工夫」が披露されていて、こんなにノウハウを書いて大丈夫かなと思うくらいだ。
 ただこの本で唯一惜しいと思うのはどんなに言葉を連ねても「美味しさを伝えるのは難しい」と言う事だ。ましてや「どうして美味しくなるのか」に至っては本書の中でも様々な理由を考察しているが結局の所伝えるのは難しい。むしろ言葉を重ねれば重ねるほど、健康食品のキャッチコピーの様な感じになってしまうのは美味しさを言葉で伝える難しさを思えば仕方がない事なのかも知れない。それでも一度でもここで食べて(そして美味しいと思ったら)表現はともかく書かれている事はどれも納得が行くだろう。本書を読んでまだこの店に行ってない人がいたらぜひとも一度足を運んで食べてみて欲しい。

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