真の試練はこれからだ
東北関東大震災から一週間が過ぎた。まだ原発の問題など進行中の問題は山のようにあるが、それでも少しずつ事態は収束しつつあるように思える。だが本当の問題はこれからだろう。これから2つの大きな問題を解決しなくてはいけないからだ。
一つは現状の発電能力では確実に夏に大規模な停電が避けられないと言う事だ。夏はエアコンなどにより冬の1.5倍の電力消費量になる。現状でも計画停電をしなくてはならない状態だと言うのにさらに1.5倍に電力消費が増え、しかも今は震災で止まっている多くの工場や商業活動が始まったら確実に電力供給は持たないだろう。3/19の日経新聞の記事によれば現時点での東電の発電能力は他社からの受電分も含めて約3400万Kw、夏までには現在止まっている火力発電所や老朽化で止めていた発電所なども再起動させるがそれでも4800万Kwで夏の電力需要の5500万~6000万Kwには届かない。東電によれば夏には現在計画停電から除外されている23区の多くでも計画停電を実施しなくてはいけなくなると言う。
しかもこの問題はこれだけでは済まない。今回の原発事故で確実に今後、新規発電所を作るのは困難になるのは目に見えている事を考えると、今年だけでなく下手をすれば何年も供給電力不足問題は続く可能性が高いのだ。
そしてこれにも関連するのだが、もう一つの問題が経済の落ち込みだ。現状で北関東東北地方では仕事を無くした人が大量にいるものの、日本経済全体の比率から言えば5%のレベルに留まっている。しかし電力不足や自粛モードにより既に関東地方の飲食業やレジャー産業では閑古鳥が鳴いている状態になっており、更にそれと関連した広告業界でも確実に仕事が減りつつある。そしてこれに電力不足が加われば更に多くの業界でも確実に生産性は減るだろう。恐ろしい事に既に厚生労働省では「計画停電に伴う休業は賃金保障しなくていい」と言う通達を出してしまった。これでは非正規労働者はもちろん無給の休業で生活できない正規労働者も山のように出るに違いない。更に恐ろしいのはこれまでも工場の多くは海外移転が進んでいたが、電力不足を避けるためにもっと多くの企業が海外移転を進める事だ。そうなるとその後、たとえ景気が回復したり電力不足が解消しても肝心の労働する場所が無くなっていると言う事態になりかねない。
自分の周りでも既に来月の仕事がいくつかキャンセルされたという報告が増えている。フリーランスの自分などは何かあったら真っ先に切られる側なので、これは他人事とは思えない。
経済関係の論者の中には、今後の経済失速による失業などで今回の震災以上の自殺者が出るのではないかと言う不気味な予言もささやかれている。果たしてこれからの試練に私たちは耐えられるだろうか。
参考Link:東京電力の計画停電を考える | 西陣に住んでます 電力関係の知識を持つ方の考察、具体的な数値などがありとても参考になる。
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