一工夫付け加えたがる人々
以前週刊誌にも取り上げられて話題になった話だが「料理が苦手な人ほどカレーを指示通り作らずチョコなど入れる」と言う。レシピと言うのは専門家が美味しく作るために書いたものなので、書かれた通りに作るのが美味しく作るための一番の早道だと言うわけだ。
だが初心者は元よりある程度料理を作り慣れた人でも自分なりのアレンジを付け加えたがる人は数多い。もちろん自分は濃い味が好きだからとか、食事制限でカロリーを減らしたいとかちゃんとした事情のある人もいるだろう。だが結構多いのが自分なりの「オリジナルティー」を出したいと思ってアレンジをする人だ。
しかし考えて見れば分かるが単純に何かを足したりしたくらいで劇的に美味しくなるなら、既にレシピに入ってる筈だ。また本当に美味しくしたいなら当然元のレシピは理解してないとどこをいじっていいか判らないし、少なくとも料理の基本を知っている必要がある。
だが実際にはカレーにチョコレートを足すように、単なる思いつきレベルのアレンジを加えた「工夫」ばかりを耳にする。
では何故、人々は普通に作ればいいところをこうした思いつきレベルの「工夫」をするのだろう。思うにこれは、レシピ通りに作るだけでは自分の料理ではなく他人の作ったものに乗っかっているだけだと言う思いがあるのでは無いだろうか。とは言え本当に自分のレシピを作るなら上に書いたように、まずはレシピや料理の理解が不可欠だ。それが大変なのは皆、分かっているのでオリジナルレシピに一工夫付け加えることで自分のものにしたいのだろう。
とは言え料理なら微笑ましい話で済ませられるが、困るのは仕事でこれと同じことをしたがる人が後を絶たない事である。普通に進めれば無事に済むところを、この手の人達は自分なりの工夫を付け加えたがってならないのだ。その結果、無駄な作業や時間を費やし、最悪その「工夫」によってプロジェクトに障害をもたらすのである。しかし何とかそれらを克服して無事にプロジェクトが終わったとたん、この人達は「俺の工夫でプロジェクトは良くなった」と言ってはばからず、場合によっては「○○と言うプロジェクトは最初は全然ダメな内容だったのを、俺の工夫で成功に導いた」と言いかねない。
こうした人々がプロジェクトの上部に居ない事を祈るばかりである。
(身近な事例を書いてる訳では無いので、念のため)
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