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April 21, 2013

若者が借金しないと教育を受けられないと何が問題になるのか

 Togetterで「若者が莫大な借金を抱えて社会人となる事態」と言うまとめが話題になっている。学生支援機構の奨学金が奨学金とは名ばかりのローンで、就職時に多くの借金を抱えた若者が大量に発生しているというのだ。
 その背景や問題点・対策など様々な意見が出ているが、ここではこうした制度の何が問題で、どんな事態を引き起こすのかについて書いてみたい。
 まず若者が就職時に多くの借金を抱える事についてだが、同様の現象が起きているアメリカで何が起きているか触れておこう。書籍「貧困大国アメリカ」などでも指摘されているが、アメリカでも就職時に多くの借金を抱える若者が出てきている。ただ日本とちょっと違うのはその中でよく有るのがハイリスク・ハイリターンを狙う若者で、彼らはMBAや弁護士資格など高収入が見込まれる資格を得るために多くの借金を抱えてでもこれらの資格を取り、就業後それらを取り返すと言うプランを持っている事だ。
 ではこうした学生が増えるとどんな問題が起きるかと言うと、彼らは一刻もはやく学生時代の借金を返済するために、収益性を一番に考えて仕事をする事にある。なぜこれが問題かといえば、こうした優秀な学生の進路の多くが「収益性」で選ばれてしまうので、それ以外の重要度が高くても収益性が悪い分野に人材が集まらなくなってしまうからである。またもう一つの問題として、行政や弁護士事務所などの公益性を持つジャンルに置いても彼らが収益性を第一に考えて仕事をする事により、お金を出してくれるスポンサーの仕事のみが優先され、公益性が損なわれていると言う分析もなされている。
 つまりこうした借金を抱えて社会にでる若者が増えれば、たとえその後ローンを返済できたとしても社会に負の影響が出てくる可能性がある訳だ。
 また冒頭に上げたまとめでも出て来たが、一部の本当に学びたい人間や優秀な人間だけが高等教育を受ければいいと言う意見については次のように反論出来るだろう。これは以前、アラン・ケイがインタビューに答えて語った台詞である。

--少数の創造的な人がいるだけだったらどうだろうか。

 それは民主主義にとって破滅的だ。一般教育を行なう主な理由の1つはまさに、有権者がさまざまな問題で同じ会話ができるようにするためだ。そうしなければ職業訓練校やギルドの昔に戻ることになる。


民主主義では全員が票を持ち政策について意思表示出来る訳だが、それには国民がそのテーマについて判っている事が前提になる。しかし原発や経済政策などについてちゃんと判っていると言える人がどれだけいるだろう。今や政策について意思表示するだけでも、恐ろしく専門的な知識が必要になっていると言うのに、今よりも教育レベルを下げてしまったら、まともに社会の多くの問題に議論も選択もできなくなってしまうだろう。

関連:教育格差の放置は民主主義の崩壊を招くだろう
以前書いた記事。

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