量子力学の思い出
上の日経サイエンス7月号「特集:量子の地平線」とそれに関連したTwitterのまとめで思い出したので書いてみたい。
大学生だった頃、美大にも関わらず何故か理数系の専門的なクラスがあった。案の定、そこを受講する学生は殆どおらず、理系崩れの自分の他は親の反対を押し切って医学部を目指していたのに美大に転向した友人と他数名しか居ない状況だった事もあり、授業後半になるとすっかり先生と我々は勝手知ったる同士と化して、カリキュラムにあるコースをしょっちゅう逸脱して様々な話題で盛り上がっていた。
もちろん知識差があるので、多くは先生があるテーマについて講義するとスタイルをとったが、それでも普通の授業の様な一方通行のやり取りではなく結構面白かった記憶がある。
ある日、どんな流れだったか思い出せないが量子力学についてその実在性を証明すると言う話になった。なにせ上のまとめにもあるように量子力学では箱の中の猫は生きていて同時に死んでいるとか、すんごい離れたところにある2つの粒子がテレパシーしてるみたいに影響し合うとか妙な話ばかり出てくるからだ。
その証明が凄かった。おもむろに先生は前提となる定理を数式で書きはじめると、後はそこからひたすら起こりうる状態を数式で計算し始め、あっという間に黒板は計算で埋め尽くされ始めたのだ。結局90分間の講義の大部分を計算とその説明に費やして、量子力学で言われている事が計算で出てくる事を実証されたのだが、既に途中で我々の貧弱な頭脳では計算を追っかけることも、説明を理解する事も出来なくなっていたのを今でも鮮明に覚えている。
あの計算を理解することは出来ないかもしれないが、それでもどんなものだったかもう一度振り返って見たいと今でも思うのだ。
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